ともぞう

薄化粧のともぞうのレビュー・感想・評価

薄化粧(1985年製作の映画)
3.0
劣化版「復讐するは我にあり」。実際の連続殺人犯の逃亡劇を描いているが、場面がバラバラと飛ぶので分かりにくいし、女にだらしない犯人の女性との絡みに焦点。有名女優の裸を出しとけば、ある程度は観客が入るだろうというダメな頃の邦画の香り。緒形拳がもったいない。

〈あらすじ〉
昭和23年、ある山奥の鉱業所。坂根藤吉(緒形拳)は坑夫として鉱山で働き、妻ふくみ(浅利香津代)と息子の喬と3人で暮らしていた。そんなある日、鉱山で落盤事故が発生しその補償問題で鉱夫の代表として会社側と掛け合った坂根は、逆に多額の裏金を会社側から掴まされてしまう。坂根の運命の歯車が狂いだしたのはこの時からであった。裏金を元に金貸しをはじめた坂根は、事故で夫を亡くした地所テル子(浅野温子)に接近、親密な仲になる。そして、このことが原因で妻ふくみと一人息子喬を次々と惨殺。また、坂根は金を貸しているのを良いことに仙波徳一の妻すゑ(宮下順子)とも肉体関係を結び、すゑの一人娘の弘子(松本伊代)にまで手を出そうとする。しかし、弘子は坂根から匠に金を引き出した挙句に、鉱業所の課長と結婚してしまう。小娘に翻弄されたことに気づいた坂根は、弘子の婚礼の夜、ダイナマイトを持ち出し、仙波家を木端微塵に吹き飛ばしてしまった。この爆破容疑で逮捕された坂根は、真壁一郎刑事(川谷拓三)、松井捨蔵刑事(大村崑)の執拗な追求に合い、ふくみ・喬殺しも発覚。留置場に入れられた坂根は突然、隠し持っていた剃刃で自殺をはかるが奇跡的に一命はとりとめた。昭和27年、坂根は刑務所を穴を掘って脱走。以後、素性を隠しながら各地の飯場を転々と渡り歩く、流浪の旅が続いた。一方、警察側も坂根逮捕に全力をあげ、真壁刑事が追跡を開始した。そんな逃亡生活の果てに、坂根は一人の薄幸の女・内藤ちえ(藤真利子)と巡り合う。坂根にとってちえは、初めて出会った菩薩のような女であった。ちえも坂根に強く魅かれ、やがて2人は自然に親密な関係になっていった。ある日、ちえは照れる坂根に無理矢理、眉墨を引いた。最初は嫌がっていた坂根だが、鏡を見るとそこには全く別人の自分があり、以後、出歩く時には必ず化粧をすることにした。しかしそんな2人の仲も、捜査の輪を刻一刻と狭める警察によって引き裂かれてしまった。ちえは金持ちの旦那のところに囲われ、坂根はまた旅へ。彼女は坂根の素性を風呂屋の手配書を見て全て知っていた。だが、坂根に強く魅かれるちえは別れる時に、彼に住所を教えた。そして、ちえのことを忘れられない坂根は彼女の元へ。久し振りにほんのつかの間の逢瀬をたのしんだ坂根はまた旅へ出るため夜のプラットホームへ行き、便所で化粧をすませでてくると、そこには彼のあとを追ってきたちえがいた。そしてふたりでの逃亡がはじまろうとした時、突然、警察のサーチライトが一斉に点灯した。
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