冒頭の水溜りに飛行機が映り込むシーンで『あ、この作品凄く好きなタイプのだ。』と確信。間違いなかったです。監督が子供だった頃の思い出から作られた作品です。中流階級の一家とその家政婦をめぐるお話です。人だけでなく背景、建物なども演者の一部のような印象を受けました。一家の日常を淡々と描いているのですが、ポツポツと事件が起こります。現実世界でも生きていれば何かしら起こりますよね。現実世界と乖離し過ぎないリアル感を感じました。
家政婦のクレオ役のヤリッツァ・アパリシオがいなければ成り立たない作品、と言っても過言ではないでしょう。露骨な感情表現が無いのですが、表情や話し方で心情が表れてくるよう…。海で子供達を助けた後、今までの感情が爆発するところもわかり過ぎるくらいわかります。抑えていた気持ちや感情が、全く関係ないある出来事がきっかけで思いがけず表にワーッ！と出てくる経験があった人なら理解できるシーンでしょうか。作品のメイキングも見ましたが、背景など作り込まれたものだと知り驚きました。ここまでこだわり抜くのは相当大変だったでしょう。ですが思い出を忠実に再現するなんておいそれと出来ません。監督はある意味幸せな人なんじゃないか、と思いました。
