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ROMA/ローマのyamatakeのレビュー・感想・評価

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)
4.8
2019/劇場鑑賞76本目

メキシコの都市ローマで、白人家族のお手伝いさんをしているクレオの人生を描いた映画。

やっと観れましたよ。というのもアカデミー候補作品をネトフリで小さい画面で鑑賞するのが気に食わなくて観てなかったんです。それでアカデミー賞とったんでなんとか劇場公開してくれないかなーと思ってたら遂にやってくれました!
で、やっぱりこんな良い作品を劇場で見れないのはおかしいし、劇場でしか味わえない美しさや深さ、余韻がある作品でした。

本作は『万引き家族』のライバル作品ということでしたが、本作が上手でした。ある人物やコミュニティが抱える問題を提示し、そこから見える「愛」を表現することが両作のテーマだと思うんですが、『ROMA』のほうがそこの表現がさりげないのに世界規模というか、深く広かったです。なので、余韻の大きさが凄まじいんですよね。

で、それを可能にしてるのが撮影です。
遠目からゆっくりと左右に動くカメラがクレオさん達を写していくんですが、それが覗き観ているというか、傍観しているというか、ただ単に観ているという感覚を与えます。大胆な動きとかクロースアップとか、撮影による感情表現はないです。

というのも、本作はキュアロン監督の自伝的な映画で、彼が幼少だった時に雇われてたお手伝いさんがクレオの元ネタです。それで子供だったキュアロン君は、当時のメキシコの社会問題とかお手伝いさんの苦悩とかは理解してなくてただ普通の生活として見ていたんですよね。

で、ラストでカメラの動きの意味が分かります。波の反発や、自然と首が上がっていくのを感じてください。

私は劇場公開を機に初鑑賞しましたが、この作品には映画館で観ることでしか味わえない美しさや深さ、そして余韻がたしかにあります。
劇場という半強制的に拘束された非現実的な空間で映像と音を感じ、時間を共有することで、クレオや彼女を雇う一家の人生がより濃密に響きます。
そして、エンドロール時の映像から得られる余韻は、劇場を後にした現実世界にも引き継がれ、空を見上げると世界が広く見えて様々な思いが湧き上がり、目に涙が滲みます。

とにかくこんな素晴らしい映画を劇場で観れて感無量です。『8 1/2』も劇場で鑑賞すれば確実に見方は変わっただろうな…

ベスト入り確定!!✈️
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