あーさん

ROMA/ローマのあーさんのレビュー・感想・評価

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)
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自由な若い頃と違って自分の場合、時間や諸々の制約の中で観る作品は、どうしても自然と絞られてくる。
今作は、パッケージを見た時からどうしても観たかった。
Netflix限定配信と知り、やっぱり入るしかないかなぁ…と検討していた所、、
なんと劇場公開することが決定!
嬉しかったー♪

が、こちらでの評価は二分されている感じ。。
うーん、人を選ぶのかな?

いや、、でも自分の直感を信じて劇場へGo!



↓ ↓ ↓
劇場で観て良かった!!
心からそう思った。

素晴らしい作品だった。

人々の営み、生活、家族、愛、哀しみ、喜び、怒り、生命、歴史、差別、天変地異、、あらゆる人生の出来事が、ギューっと詰まっている。
どんな出来事も、受け止めて前に進む。
当たり前のように。
長い叙事詩を味わっている、そんな心持ちにさせてくれる作品だった。。

1970年代の政治的混乱に揺れるメキシコが舞台、モノクロ。
それだけでもちょっと異質な感じがする。
一般的なサボテンやタコスなんかのイメージとは違った、メキシコの別の面が見られる。
子どもが4人いる医師の家庭(富裕層)に家政婦兼子守りとして住み込みで働くクレオという女性が主人公。
極力ストーリーの説明はしない、言わなくても向こうからやって来るのとは反対で、こちらから寄せていかないといけないヤツだ。
時代背景もお国事情もよくわからないまま、生活の様子がゆっくりと綴られる。

それでも、丁寧に丁寧に紡がれた物語に途中で飽きたり眠くなったりすることは一切なく、最後まで引き込まれ別世界へと誘われた。

クレオ役のヤリャッツァ・アパリシオの顔が素晴らしい。彼女は演技は全く素人で、幼稚園教諭として働くメキシコの先住民族出身者だという。
およそアカデミー賞監督賞、撮影賞、外国語映画賞を始め、ゴールデングローブ賞、ヴェネチア国際映画祭金獅子賞等、数々の賞を受賞するような作品の主演女優には見えない。
でも、私は控えめな中にも彼女に強い意志と母性を感じた。そして、彼女の一挙手一投足に心を奪われた。慈愛に満ちたその微笑みは、時に神々しいとさえ思った。

アルフォンソ・キュアロン監督はメキシコ出身で、クレオは自身が育ててもらった家政婦リボがモデルになっているという。

そんな思い入れもあり、終始優しく、温かい眼差しで描かれているのだが、そこにぶち込まれて来るのは、不誠実なろくでなし男であったり火事や地震などの天変地異、喪失、政局不安定な中歴史上実際にあった事件等々。
力のない者、特に女や子どもは、その度に翻弄され、傷つき、苦しむ。
しかし、その度に支え合い、助け合う。
何気ない生活、繰り返される日常、何としてもそれを守っていこうとする強い心、その美しさに私は感動した。

私が大好きな、心惹かれて仕方なかったパッケージのシーンは、本当に本当に素晴らしい!
家族の心が一つになり、大きな力になる。。
一人一人は弱くても、力を合わせれば…そんな気持ちになれる素敵な素敵なシーン。
忘れられないし、忘れたくない。

きっと、これから何度も何度も観たくなるし、歴史に残る映画になると思う。

バックミュージックは殆どなく生活音、動物の鳴き声、道行く人の声、車のクラクション、そして色のない画面がかえって一つ一つのシーンを印象的にしている。
子ども達がまた、とても可愛らしい♡


この映画と出会えて、良かった。

この作品が好きな人と色々語り合いたくなった。。



追記♪

アップリンク渋谷は、初めての映画館。
今までで一番ちっちゃな映画館だったかも。。古くて椅子がギシギシしてるとか空調がイマイチとかはなく、音響も思いの外良くて、雰囲気もアットホームな感じで好きでした。(でも、隣に人がいるとちょっと気になる、、)
苦手だった渋谷も、回を重ねて少しずつわかるようになって来たのかなー
Bunkamura ル・シネマ、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネマヴェーラ渋谷、ユーロスペース、、はもう場所もわかった!
まだ行ってないシネコンじゃない?映画館は、イメージ・フォーラムとシネクイントくらいかな?もっとある?
その内制覇できたら、、と思ったりしています。
あーさん

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