jam

冬時間のパリのjamのレビュー・感想・評価

冬時間のパリ(2018年製作の映画)
3.5
奇跡なんて存在しない 現実よ
…幸せ?
…ああ…

ラストシーンで漸く、救われた…

《パリの出版業界を舞台に、〈本、人生、愛〉をテーマに描く、迷える大人たちのラブストーリー》
という謳い文句どおり、なんだけれど。
大人たちのラブストーリーよりも
出版業界のこれから、とか
キャリアのある女優のこれから、とか
停滞気味の小説家のこれから、
についてをひたすら話す作品だったという印象。


電子化の波に翻弄される編集者、
その妻で仕事に迷う女優
私小説が原因でSNS炎上する作家
その妻で政治家秘書

二組の夫婦が、あまり罪の意識もなく不倫し合うところがほんと、フランスらしい…
途中まで、登場人物の誰にも共感出来なくて困惑するほど。

ベイルマンの「冬の光」を例に挙げて心境を語るところだけは、ちょうど観ていたのでわかりやすかった…


新作をボツにされて落ち込む夫へ
「私は味方よ。慰めてほしいの?
あなたも私も時間と共に変わる」と、
冷静に見えた政治家秘書

彼女が夫の浮気に気づき
"私は愛してる"と言ったあたりから、
生身の体温みたいなものを感じて


女優役のジュリエット・ビノシュ
美しい妻、優しいママ、不倫を愉しむ女、
キャリアの過渡期の少し疲れた女優…と
様々な面を見せてくれてとても魅力的


小説家の新作のビジュアルブック化の時には、声は「ジュリエット・ビノシュへ」とお遊びも効いていて。

そして、ラストのサプライズ
会話劇にめげずに観続けてよかった…
jam

jam