ひろぽん

記憶にございません!のひろぽんのレビュー・感想・評価

記憶にございません!(2019年製作の映画)
3.8
史上最悪のダメ総理と国民から嫌われる内閣総理大臣の黒田啓介は、演説中に石を投げられ病院に運ばれる。目を覚ました彼は、一切の記憶を失っていた。国政の混乱を懸念した3人の秘書官は、その事実を伏せて世間や身内からも隠し通そうとする。一方、何も思い出せない総理は次々とトラブルに見舞われるうちに、なんとか現状を変えようと奮起するようになる。果たして金に目がない悪徳政治家から善良で純朴な政治家へと大変身した総理の運命はどうなるのかという物語。


史上最低の2.3%という前代未聞の最低支持率を叩きだし、歴代最悪の総理大臣と呼ばれる黒田啓介。

演説中に国民から石を投げつけられ、そのまま病院に運ばれ意識が戻ると総理になってからの記憶がスッカリ抜け落ちていた。記憶がなく右も左も分からぬ状況で身内や政治家、国民にもバレないように彼の側近たちと一緒にトラブルを回避しながら困難を乗り越えていくコメディ要素満載の政治家のお話。

黒田総理は絵に書いたような傍若無人な人物。闇献金、癒着、不倫、セクハラ、暴言、公費の横領etc.....
数えたらキリがないくらい悪行に悪行を重ねる悪徳政治家。

国会では暴言を吐き、悪行を責められても「記憶にございません」と悪びれもせずにシラを切る始末。

そんな政治家が石をぶつけられたという事をキッカケに誠実で善良な政治家へと変貌を遂げていく。


すっとぼけた人の良さそうなおじさんを演じる中井貴一の役柄がめちゃくちゃ似合ってて、彼のために作られた作品なんじゃないかと思うくらいハマり役だった。

記憶を失った総理をサポートする小池栄子とディーン・フジオカの頼もしい2人も際立っており良かった。小池栄子はふざけたダンスを真面目にやったり、総理に自らセクハラされにいくシーンが面白くて笑ってしまった。ディーン・フジオカは冷静かつクールな役回りがカッコ良く流石といった感じ。

人間そう簡単に性格を変えられるもんじゃないから、何かしら大きなキッカケとなるような事がないと激的に変わることないよな。子どもの頃に描いていた自分と大人になった自分を比較して、それが理想に近づいていたら幸せなのかもしれない。

変化のキッカケがあっても変えられない人もいるから黒田総理は根は悪い人じゃなく努力家なんだろうなと感じた。

類は友を呼ぶという言葉のように、悪そうな人間の周りにはやっぱり悪そうな人間が集まるんだな。登場人物みんな良い人ばかりで救われてる。

三谷作品はやっぱりキャストが豪華。役者全員それぞれの持ち味が生かされていて素晴らしい。

現代政治家への風刺が全面的に効いていて面白かった。大きな出来事があるわけじゃなかったけど、クスッと笑える笑いが至る所に込められている雰囲気が好き。黒田総理の悪行を行っているシーンがもっとあれば改心した時とのギャップがあって良かったと思う。

ラストの作文からの展開がホッコリする意外な展開。大きく変わっても激的に支持率が上がらないところが非常にリアル。

岸田総理も頭に石が当たって神改革しないかな〜
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