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スネーク・アイズのnorisのレビュー・感想・評価

スネーク・アイズ(1998年製作の映画)
4.0
見るのは二度目だが、嫌いではない映画だ。

舞台はハリケーン来襲中のアトランティックシティ、地元TV局のリポーターが中継する、ボクシングのヘビー級タイトルマッチを観覧しに来た国防長官をとらえた「映像が映るテレビ」のパンから始まり、現場スタジアムの中を縦横に動き回るニコラス刑事をステディカムで追い、ウォークウエーを通って1万4000人の観客がいるリングサイドで終わるかと思わせて、さらに主要人物全員の動きをおさめつつ、試合のヒートアップに乗じた国防長官の射殺まで続く長回しで映画は始まる。この間、ニコラス刑事は喋りっぱなしである。

この13分の長回し(実際には合成があり擬似的なもの)は、物語の中で主要人物の数だけ別角度から反芻されるという念の入ったものである(こっちの方がすごい)。そしてその後も、一人称キャメラによる長回し、スプリット、複数の部屋の俯瞰パン、すり抜け、監視カメラ映像など、デ・パルマ節の集大成が最後まで持続するのだが、これは「ミッション・インポシブル」のヒットで得た資金をすべて注ぎ込むことで実現したと言われる。中でも、一人称キャメラが鏡を介して三人称に切り替わるというあっと驚くシーンには唖然とさせられる。

ニコラス刑事とコンビを組むヒロインは金髪のカツラを付けたイタリア系のかわい子ちゃん#カーラグギノ で、これがまたいかにもデ・パルマ好みな感じなのがたまらない。
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