ひとみちゃん

永遠の門 ゴッホの見た未来のひとみちゃんのレビュー・感想・評価

4.8
売れない画家のゴッホが、パリで評価されずに南フランスのアルルに行き、壮大な麦畑、太陽の光の「黄色」の世界に包まれて芸術活動に勤しむ。
しかし田舎町のアルルでは、他所者で独特な絵を描くゴッホは変人扱いをされてしまい、それがゴッホの負担となり、ついには精神病院に入ることに。
人の心ない言動が、ゴッホ自身の精神を蝕んでいったのだ。
自分の片耳を切ったという話は有名な話だが、あまりにも彼が繊細すぎた故の話だということはあまり知られていないことかもしれない。
画商で弟のテオの計らいで、パリで志を共にしたゴーギャンとともに、アルルの風景や人物画を描いて、芸術のことについて話せる時間が生まれたことは幸せなことだっだと思う。
それゆえに、ゴーギャンがパリに戻ると言い出したときは、自分が気に障ることをしたのか…と自分を責める一面もあった。そして、片耳を切断。
彼はゴーギャンと違って、自分の意志を貫くような強さと、圧倒的にコミュニケーション能力が不足していたことが劇中如実に現れていた。

とはいえ彼の絵は、生前は全く売れなかったが、テオが言うように「偉大な画家」だった。
何かあるとすぐに駆けつける、テオの存在がゴッホにとっては救いだったと思う。
私にも妹がいて、私のことを良くも悪くもよく知っていて、友達が少ない私にとっては有難い存在だからこそ、この二人の関係性はすごく感動させられるものがあった。

ゴッホの絵が個人的に大好きだ。
ゴーギャンが劇中、「君は絵の描き方がなってない。まるで粘土のようだ。」と批判するシーンがあるが、私は心の中で「それがいいんだよ、私はゴーギャンよりゴッホの絵が好きだよ、黙ってろよ」と反論してあげたかった。笑
誰よりも人の評価が気になってた彼だからこそ、とても生きづらかったのかなと察する。

ゴッホが大好きな黄色で塗られた部屋の壁に、ゴーギャンの好きな赤色の文字で書いたメッセージがラストに流れてきて、とにかくうるっときた。
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