ルサチマ

研ぎ師/研ぎ屋のルサチマのレビュー・感想・評価

研ぎ師/研ぎ屋(2001年製作の映画)
4.5
『シチリア!』からの抜粋のため、これ単体で見ても煙に巻かれるだろうが、『シチリア!』のメイキングと併せてこの短編を見るとその豊かさに快哉を叫びたくなる。ブレッソンのリハーサルが徹底的に繰り返され、モデルを急遽の無意識下へと導くものだとするなら、ストローブ=ユイレのリハーサルはブレッソン並みのテイクを重ねつつ、それよりも先の段階へ、すなわち俳優自身が主体として思考する過程を導くかのように見える。セルジュ・ダネーの「俳優はテクストの意味を理解せぬまま正確に芝居をしてみせる」と批評したことに対して、ユイレが「俳優たちがテクストの内容を理解してないわけがない」と強く反論したというエピソードもこのリハーサルに裏付けられたものと考えられる。これについては『あなたの微笑みはどこに隠れたの?』で、素材を確認しながら議論し合う2人のやりとりを参照するとより面白い。
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