このレビューはネタバレを含みます
・長女メグ:女優に憧れはあったが、社会的にそれが困難なことを理解していた。家庭を築く。
・二女ジョー:小説家になることを志し、努力と取捨選択を経てそれを実現する。家庭は築かなかった(と推測される)。
・三女ベス:音楽家に憧れはあったが、身体的にそれが困難なことを理解していた。
・四女エイミー:画家になることを志し、挑戦して挫折する。その後家庭を築く。
作中の四姉妹の年齢、姉妹間の会話や関係性から
メグとジョーを姉(=女性の社会的立場に自覚的)、ベスとエイミーを妹(〜に自覚的ではない)と定義し、更に当時の価値観から結婚を「幸せになること」と定義すると、
メグ:姉、夢を追わなかった、幸せになった
ジョー:姉、夢を追った(達成した)、幸せにならなかった
ベス:妹、夢を追わなかった、幸せにならなかった
エイミー:妹、夢を追った(達成できなかった)、幸せになった
のように分解もできて、考察のしがいもある。
年齢や性格や身体の健康さはそれぞれ違うが、19世紀中盤〜後半の米国において女性として生きることについて、4人が過去の段階で独自の見解を持っている点が細部に現れる。反抗心であったり、諦念であったり、純粋な違和感であったりが、わずか一言の台詞とか一瞬の表情の移り変わりに出てくるんだよな。
四姉妹が全員美人で演技力も高かった。四人でわちゃわちゃしている時の距離感や仲良さが自然。
ジョーの生き方は、その才能こそ自明だったにせよ「社会慣習に公然と反抗する」ものに近かった。愛と自己実現が両立できなかった時代、「女は愛で自己実現しろ」とか「女は男の所有物にしかなれない」という空気の中で生じる主人公の葛藤に泣いてしまった。
あとこの時代のアメリカンファッション美しい。ヨーロッパのモードとはこの時期あたりから既に大きく違ってますね。