こなつ

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語のこなつのレビュー・感想・評価

4.0
若草物語と言えば、少女時代の愛読書としては「赤毛のアン」と同様、誰もが筆頭にあげる作品。私自身も節目、節目には読んでいて、南北戦争時代の過酷な状況の中でも支え合いながら明るく生きる4姉妹の温かさと次女ジョーという自分の夢を叶えるため、強く生きようとする女性に憧れた。

ルイーザ・メイ・オルコットの半ば自伝的な小説は、伝統的なアメリカの親子関係が日常の何気ない生活の中で描かれていて興味深い。

若草物語の映画化も幾つかされているようだが、今回初めて映画化された作品を鑑賞した。今や話題の人、グレタ・ガーウィグ監督の「レディバード」に続く2作目の長編映画。彼女が描く若草物語は一体どんなものなのか、現代的要素を含んだ若草物語がどのように仕上がっているのか、、、期待以上に素敵な作品だった。

グレタ・ガーウィグ監督とシアーシャ・ローナンが再タッグを組んだこの作品は150年もの間受け継がれてきた名作を新たな視点で、現代でも通用する女性の物語に仕上げている。まだ女性の立場が高くなかった時代、女性が表現者として成功するのが難しかった時代、次女ジョーの生き様を中心に、自分らしく生きることを貫いた自立した女性の姿が描かれている。監督の信念、現代に通じるフェミニズムを強く感じた。

小説は、母と暮らす4人の姉妹から始まり、成長して行く過程が時代の流れとともに描かれているが、映画は次女ジョーが過去を回想するつくりになっている。マーチ家は元々裕福だったが、南北戦争で慎ましい生活を強いられているという状況の中、それぞれの姉妹が選ぶ道は決して容易いものではないが、温かな日常のエピソードが数々散りばめられていて心打たれる。

戦争の話などは多くを語らず、三女ベスの亡くなる様子などは小説以上にしっかり描かれていて、監督の4姉妹をそれぞれ思いやる気持ちを強く感じた。母がジョーに「あなたらしく生きればいいのよ」その言葉が温かく、過酷な生活の中でも娘を常に応援する母の姿が美しかった。

個人的には、ハリーポッターのエマ・ワトソンの顔立ちが好きなので楽しめたし、母親役のローラ・ダーンや伯母役のメリル・ストリープも素敵だった。ティモシー・シャラメのローリーは、あの時代にあんな可愛い顔の男性いたかな?最終的にジョーのパートナーになるベア先生のルイ・ガレルは、小説より随分若くてイケメンだが(小説ではドイツ系のかなり歳の離れたおじさんだった記憶が)こういうところもグレタ・ガーウィグらしい新鮮さで、新しい風が吹く現代風の「若草物語」になっているのだろう。
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