KH

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語のKHのレビュー・感想・評価

5.0
「レディ・バード」、「バービー」に続いてグレタ・ガーウィグ監督の3作目を鑑賞。
本当に素晴らしい作品だと思う。
グレタ・ガーウィグの作品はどれも、映画に人間が描かれている。
四姉妹の物語。今よりもっと男女の格差が大きくて、女性は結婚することが人生のゴールだった時代の話。
そんな時代の四姉妹が過ごした少女時代から大人になっていくまでの姿が描かれている。
グレタ・ガーウィグの作品には、「女性とは」というテーマが常にあるけど、それは思想とか理論とかじゃなくて、もっと現実にジメジメとベッタリとくっついたものだと思う。
ジョーは結婚だけが女の全てじゃないって憤りつつも、
「結婚だけが女の幸せなんておかしい。でもどうしようもなく孤独なの」
このセリフがすごく切ない。
レディバードに続いてジョーを演じたシアーシャの力強さと不器用さと痛々しさが大好き。
髪を潔く切ってお金に代えた次のシーンで泣いちゃう所とか、不覚にも笑ってしまったけど、あのシーンは凄くジョーが表されてる。
やっぱりグレタ・ガーウィグっていつも観客より1歩先にいる。
でもこの映画って決して「女にとって結婚は経済」というエイミーを蔑ろにしているわけでないし、エイミーの苦悩もジョーと同じくらい大きいものだと思う。
最後のラストはリアルか分からないし、途中で作品の空気が変わるから皮肉かもしれないけど(若草物語の原作者は生涯独身)、お互いの生き方を否定しないのが優しさだと思う。
色んな視点が沢山あって、1回観ただけじゃ整理できないけど、
素晴らしい作品だと思う。
KH

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