さくぞー

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語のさくぞーのネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます

作品の質・凄まじいヒット・アカデミーでの冷遇などグレタ・ガーウィグは次のノーランか。

女性像に対するテーマ性が骨格だが、シンプルに普遍的な青春時代の恋愛たらればとしての共感性も抜群にあるだろう。

騒がしくも皆一緒で幸せな青春時代と、バラバラで上手くいかない現在を交互に描き、現代にも通じる女性像に対する疑問を描きだす。
ただ結婚するだけじゃなく、誰と結婚するかというのも悲しい。結婚が貧困問題にも繋がっているので、マーチ家に一人でも男の子がいたら、もしジョーが男の子だったら違ったんかなあと思ってしまう。
映像でも暖色の青春時代と寒色の現在の対比が辛い。また、エピソードが過去と現在でリンクしている演出が決まってる。そのぶん、現在の時間経過が少し分かりづらい。

それに加えて、青春時代と現在の時系列にオチの小説家パートも繋がってしまっているせいで、オチが上手く決まってない。特にジョーが一気に信頼できない語り手になったしまうせいで、それまでの130分が何だったのか急に梯子を外された気分になる。そうなると汲み取ろうとしていたテーマ性も結局どっちなのかよく分からなくなる。最後の『アメリカン・フィクション』みたいなシーンが挟まるまでは、固定観念に囚われて自分の幸せを遠ざけるなら、それも固定観念に囚われているということなのではないか。「結婚が全てじゃない」と反発する思想を守るために、好きな人に「良いお嫁さんになれない」と固定観念を使った理屈つけて振って後悔するならそれも固定観念に囚われた結果だ、結婚が全てではないが結婚したいと思う気持ちを否定するのも違う、というメッセージ性を受け取ってたけど何か違ったっぽい。結局どういう視点で観ればよかったんだよって感じ。頭ごちゃごちゃでキレそう。もっと小説家パートがあれば…。これは原作小説や昔の映画も観ないと作者自身のメッセージは分からんわ。
しかし、『アメリカン・フィクション』は絶対これを参考にしただろ。

鬼のように豪華なキャストと、時代経過による変化を表現した演技は見事。特に変化が大きいティモシーとフローレンス・ピューは圧巻。
叔母さまもめっちゃいいキャラなんよなあ。なんかマツコ的な気持ち良さがある。
ベスみたいな泰然とした妹キャラも良い。
男性キャラが優しいのも良かった。時代的にもっと酷い人もいるだろが、そこは冒頭の作者の一文が活きてくる。皮肉かもしれないが。
実際の親父がクソだったらしいの、ちびまる子ちゃんの友蔵が本物はクソだったのと似てる。

最初の持ち込み、世相は反映されているが、ダッシュウッドがただのヘイト要素じゃなくしっかり編集者してて良い。実際あれくらいの速度で編集者は読めるから、適当に嫌がらせで削ってるわけじゃない。まあ、商業主義ですわな。
本作るシーンめっちゃ良い。

映像:=====B
脚本:======A
編集:===D
俳優:=======S
人物:=======S
音楽:======A
音響:=====B
【MVP】
さくぞー

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