mimitakoyaki

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語のmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

4.8
わたし的に信頼度が高いグレタ・ガーウィグが、「レディバード」に続いてシアーシャ・ローナンやシャラメと新作を作ったなんて、楽しみすぎるじゃないですか。
コロナで長いおあずけを食らっていましたが、ようやく観ることができました。

で、めちゃくちゃ最高!
なんという素敵な女性讃歌!
どんな生き方も肯定される優しいストーリーだけでなく、キャストも映像も衣装も何もかも素晴らしいんですよね。
もうグレタ・ガーウィグに一生ついて行きます!って宣言します。

恥ずかしいのですが、文学作品に疎いわたしは、若草物語そのものを4姉妹の話だというくらいの事しか知らなくて、事前に知っとけば良かったとちょっと後悔もありますが、それでもとても楽しめました。

まず4姉妹がそれぞれ違うタイプで、性格も生き方もバラバラなんですね。
少女の頃はケンカもするけどキャッキャしていつも一緒で仲良しで、お母さんとお手伝いさんも含めて女ばかりの賑やかな生活はとても楽しく輝くような日々で、そんな愛おしい過去の思い出と、それぞれが大人になり、ままならないものを抱える4姉妹の現在が交互に描かれていて、この時代の女性の生きづらさがどんどん炙り出されていくんですね。

100年以上も前のこの時代、女性は結婚して家庭を持つことが一番の幸せとされ、女性が仕事をもって成功することはほとんどなかったし、家庭に尽くす事が女性の当然の生き方だったわけで、そんな時代に、結婚しないという生き方だって認められるべき、女性だって才能が正当に評価されるべき、やりたい仕事をもってなりたい自分になれるべき、という考えは当時からするとすごく先進的だったし、今にも通じる普遍性もあって、すごく共感しました。

そして、愛する人と結婚して妻や母として生きる生き方も、結婚せずに生涯自由で小説家としての生き方も、短い生涯でも音楽を愛し貧しい人に寄り添う生き方も、お金持ちと結婚し家族を支える生き方も、彼女たちが苦悩しながら選んだ道を何一つ否定せず、それぞれの生き方を肯定してるところがほんとに素晴らしくて、4姉妹の誰にもどこか自分と重ね合わせるところがあり、誰のことも愛おしく思えました。

また人物の描き方も、良いところも嫌なところもちゃんと丁寧に描かれていて、どんな時代でも同じ女性としてとても共感するところやチクリとするところがあり、それがとても魅力的でした。

絆の深い仲良し姉妹だけど、互いに嫉妬や葛藤、反発など複雑な気持ちも抱え、愛する姉妹だけにそれが辛くて苦悩したり、そんな家族だからこその愛憎も細やかに描かれていたし、お母さんと娘たちとの関係もすごく素敵だし、もう語り出したらいろいろあり過ぎるんです!

けど、これだけは声を大にして言いたい。
シャラメ、イケメンすぎるやろーー!
自分が良い年したおばちゃんなのをすっかり忘れて、わたしもシャラメとはしゃぎ回りたいわ!って心で叫びました。
あー、もうシャラメとジョーとエイミーの終盤のくだりとか、切なくてたまらん!
上流階級のイケメン貴公子がぴったりハマってました。

そうそう、冒頭でシアーシャ・ローナン演じるジョーが全力で街の中を疾走するシーンがあるんですが、「フランシス・ハ」でグレタ・ガーウィグが疾走するのと重なって、なんかそれだけでグッとして心に残る名シーンになってました。

あと、エミリーに花冠載せたのはミッドサマーへのオマージュかたまたまなのか…
あのシーンでエミリーがクルクル回り出さないか少し心配になってしもた笑

何はともあれ、またひとつ大好きな素晴らしい作品と出会えて幸せです!
これを機に他の若草物語も見てみたいです。

38
mimitakoyaki

mimitakoyaki