瑞々しさと躍動感。
痛みを経ての、少女時代の終わり。
そして、未来。
脚本なのか、編集なのか、そもそもの原作がそうなのか、物語の構成が芸術的に素晴らしかった。
個人的には本作でのジョーが、最初から最後までの全てにおいて、シアーシャ・ローナン史上最も名演でした。
情熱的で、美しく、オスカーでの主演女優賞ノミネートも納得の輝き。
ティモシー・シャラメとのシーンでは、情熱と美しさと輝きが乱反射。
サングラスが必要になるレベルの眩しさ。
溜めて、溜めて、溜めてからの告白のシーン最高。
またベスのエピソードでは、いちいち涙腺が緩み、泣くのをずっと我慢していたもので、すっかり喉が痛くなりました。
ピアノとか、スリッパの刺繍とか、ピアノとか…
ローレンスさんに共感しちゃって、もう…
今日は「ミッドサマー」以来の、久し振りの映画館を味わったのだけれど、フローレンス・ピューが泣くのを我慢して口をへの字にしたり、火の近くにいたり、頭に花飾りをして野原にいると、不穏な空気が流れるの、なんでだろう。
あと、初めての長編小説が製本されるまでの過程をじっくり描いたシークエンス。
脚本家でもあるグレタ・ガーウィグの、こだわりのフェチズムを感じ、こちらまで興奮してしまった。
小説家であるジョーにとってはきっと、メグにとっての結婚や出産と同じくらいの、何ものにも代え難いであろう、人生で一番の喜びだよね。
まるで、この世に生まれたての我が子を抱いているかのような、愛おしさの込もったまなざしだった。
ラストのパラレルワールド的な攻めた脚色表現も大正解。
男である私も改めて、フェミニズムについて考えさせられる。
(古典文学が原作の多姉妹繋がりで、キーラ・ナイトレイ主演の「プライドと偏見」もまた観たくなった)
(エンドロールで名前を見つけたクリス・クーパー、全然気づかなかった!)