バロウズ

恐怖の報酬 オリジナル完全版のバロウズのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

ハリウッド屈指の鬼監督、ウィリアムフリードキンが1953年の同名フランス映画をリメイク。

1953年のオリジナル版は未見。
残業明けの疲れが溜まった状態でレイトショーで見たからか、冒頭30分の人物紹介的なシークエンスで少し眠くなってしまった。
ただ物語が動き出してからは一気に興味を引かれ、振動を加えたら爆発するというニトログリセリンを積んだボロボロのトラックが密林の舗装されていない道を走るというだけでも怖いのに、その行く手を阻む障害物の数々。
ボロボロな木の橋を慎重に渡っていたら突然タイヤがズボッと溝にハマりトラックが傾く。なんとも息が詰まる瞬間。

そして本作のクライマックスと言っていい吊り橋のシーンは、出てきた瞬間から「これは無理だ」と絶望せずにはいられない。
激しく揺れる今にも壊れそうな吊り橋を、ニトロを積んだトラックがゆっくりと迫ってくる様はまるで制御不能の怪物のように演出されており鳥肌モノ。

道を塞ぐ巨木をピタゴラスイッチのような装置で大爆破させるシーンは飛び散る木片がとても美しく、爆発の美学を感じさせる。

そして終盤は完全にホラーと化す。この世のものとは思えない異世界のような荒野を彷徨い、過去のトラウマがフラッシュバックし死んだはずの仲間の笑い声がこだまする。
ラストはああ、やっぱりそうなりますよねという感じで意外性はありませんでした。
ちなみに短縮版の方ではラスト、複雑な表情を浮かべるロイシャイダーの顔のアップで終わるらしいので、自分はそっちの方が良かったかな。

とにかく全編爆発とバイオレンスと男臭さが滲みでた70年代の傑作の一つといっていいかもしれない。
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