鰯

恐怖の報酬 オリジナル完全版の鰯のレビュー・感想・評価

4.8
あらゆる瞬間が恐怖

南米のとある国。油田で大規模な火災が発生し、消化にはわずかな衝撃で爆発してしまう大量のニトログリセリンを運ばなければならない。それぞれの事情を抱えその国へと集まった4人の男が、運搬を引き受けるが...

冒険譚、というかその類の作品では今まで見た中で一番面白かったかもしれません。とにかく先が読めず、常に死んでしまうのではないかという不安感が頭を離れない。
冒頭は話がイマイチ掴めずやや苦労しましたが、それでも4人が彼の国を訪れるに至った経緯が恐怖!どの人物の背景にも手抜きがないし、とにかく丁寧。本当に怖いし、「それは逃げるしかない」と思わせるのがうまい。何なんでしょうこれ、演出なのか演技なのか。
そして、本筋に入ると一気に魅力が爆発。油田の爆発は気合が入りすぎて、最近のCG作品より全然すごい。普通クライマックスとかにありそうな大爆発が早々に発生するのでちょっと笑ってしまいました。

運搬が始まると、疑心暗鬼だった4人も協力せざるを得ない状況に。そして、危機を乗り越えるとそこには言葉にし難い友情が生まれ始める。特にポスタービジュアルにもなっている吊り橋のシーンは本当に怖い。何をどうやって撮っているのかもよくわからないし、役者陣の追い込まれた表情も素晴らしい。それを乗り越えた先は、、、

ラストの展開からエンドロールにかけても一切気が休まらず、ハッピーエンドなどと簡単に言わせないところも大好き。
公開当時は憂き目にあったそうですが、ある意味そのおかげで今劇場で観られることに感謝したい。映画館で見たい1本です。
鰯