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ラ・ポワント・クールトのleylaのレビュー・感想・評価

ラ・ポワント・クールト(1955年製作の映画)
4.0
ヌーヴェルヴァーグの先駆ともいえるアニエス・ヴァルダ監督の長編デビュー作。70年近く前の作品なのに、なんて新しい撮り方なんでしょ。これ以降、ヌーヴェルバーグが台頭してきました。

アニエス・ヴァルダが疎開していたフランスの漁村ラ・ポワント・クールトを舞台にした2つの物語が交互に描かれます。

1つは漁村に暮らす人々の物語。
禁漁区のため政府に見張られ、その隙をかいくぐり漁に出る人々。貧しく子だくさんの家、地元の祭などを写実的な映像で映し出す。実際に村の人々を起用しているそうです。ヴィスコンティ「揺れる大地」を陽気にしたような。

もう1つは、久々にパリから帰郷した夫と妻の物語。
妻は夫と別れようとしているが、夫は関係を修復しようと妻を自分の故郷に誘った。
無機質な映像、不自然な構図、奇妙な音楽など、村民の物語とはギャップがある。

写真家でもあるヴァルダのこだわりが詰まったショットの数々は、どれもアート的で斬新。ジャケの視線を合わせないのもそのひとつ。
編集にはアラン・レネ監督が参加していて「去年マリエンバートで」風な佇まいを感じます。

2つの物語は、ただその村で起きたこととして描かれているだけで、交わらないのが面白いし、新しい。

デジタルリマスターにより、70年近く前とは思えない鮮やかなモノクロ映像なのも嬉しくなりました。

猫がいい仕事してます🐈‍⬛
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