『幸福』という映画への悪酔いは今でも覚めませんが、この処女作には率直な驚きを隠せません
アニエス・ヴァルダ
『ラ・ポワント・クールト』
この映画は初見ですが、二度目では作品の質感が変化すると思う。
映画を観る、という体験は決して瞬間的に到来してそのまま終焉を迎えるわけではなく、徐々に私たち観客に訪れ、対象からカドを取り、その内実をその都度更新して親しんでいく体験だからです。
あまりにも自明の事ですが、あまりにも自明過ぎてかえって誰もしなかった事を、『ヒロシマ・モン・アムール』(アラン・レネ)や『大人は分かってくれない』(トリュフォー)それどころか『勝手にしやがれ』(ゴダール)よりも以前にあっさりやり遂げてしまったアニエス・ヴァルダに今は驚言を隠さないでおこう、と思います。
劇中、印象的だったフィリップ・ノワレの台詞より
(初めから自分に似てる人を愛さない。互いに似てない者同士が次第に似てくるのが大事なんだ)