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ラ・ポワント・クールトのEyesworthのレビュー・感想・評価

ラ・ポワント・クールト(1955年製作の映画)
4.7
ヌーベルバーグの始まりを告げる1955年のアニエス・ヴァルダの長編デビュー作。

〈あらすじ〉
南フランスの海岸線に位置する、美しくも静かな田舎町ポワントクールト。この町で生まれた若い男が、久し振りの帰郷を果たす。そして、そんな彼を追って妻もやってきたが、ふたりの愛は今にも終わりを迎えようとしていた。ふたりは村を歩きながら会話をはじめるのだったが…

〈所感〉
アニエス・ヴァルダ鑑賞7作目か。ヴァルダ中毒への道を進んでいる。これがデビュー作とは驚き。ヌーベルバーグ自体よくわかっていないので、これぞヌーベルバーグ感はわからないが、これさえ見れば間違いないと思う。こないだ行った神奈川県三浦市の三崎町のような港町のロケ地でそこで静かに懸命に毎日を生きる人々の顔と心情を溌剌と描き出している。そこを通り過ぎて最終的に交わるこの作品のメインのアベック。彼らは最初から最後までずっと別れそうで別れない。船底に入ったり、水上槍試合を見たり、海辺の田舎町のありふれた日々を楽しそうに暮らしている。そして彼らは町と一体化し添い遂げる。筋書きはどうってことないかもしれないが、光の採り入れ方、巧みなショットの連続でこの偉大な監督は最初から相当な技術を持っていたことがわかる。今日からあなたもヴァルダ中毒。
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