jam

37セカンズのjamのレビュー・感想・評価

37セカンズ(2019年製作の映画)
4.4
彼らは何かひとつかふたつ、
私たちよりもできないけれど。
それ以外は全く同じ人間なんだ。

先日観たばかりの「渚のふたり」のイ・スンジュン監督の言葉をしみじみと思い出す


生まれた時に37秒間呼吸が止まってしまったことから、脳性麻痺となった23歳のユマ
確かに、彼女は立ち上がることをはじめとして自分の力でできないことがいくつかある
共に暮らすのは"過保護すぎる"母のみ…


これは
障害を抱えて生きる女性の成長物語だということと同時に、輝く女性たちの物語

なにかと世話を焼く母の手から離れて
ひとりで外の世界へ出て行こうとするユマ

障害者の"常連さん"を持つ、アダルトなお仕事の舞…
きっと彼女にもたくさんのドラマがあるんだと思わせられる素敵な女性

ユマを激励し、夢実現の手助けをする藤本編集長

"二人だけだった"父亡き後、
タイで教師として頑張るユカ

もちろん、女手ひとつでユマを育ててきたママも

ユマのことを思う気持ちと、
自分の成功との狭間で揺れるサヤちゃんでさえ


時に眩しい光で汗ばむ東京から
打ち寄せる波飛沫に心揺れる房総
そして熱気あふれるタイの人いきれ

それぞれの地で
ユマの表情がどんどん変化していって
彼女の世界が開けていくに従って
視界がクリアになり、
景色の鮮やかさが際立っていき


ユマと年齢が近ければ、彼女の興味…お洒落やセックスに対する関心に
ママと年齢が近い、又は子を持つ親ならば娘の巣立ちを心配しつつ応援する

共感するポイントは違うかもしれないけれど
"頑張れ、オンナノコ"
というスピリットはおなじ



余談だけれど
尾美としのり、渋川清彦、石橋静河…
チョイ役が豪華で嬉しくなります…
jam

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