メイプルわっふるG

インビジブル 暗殺の旋律を弾く女のメイプルわっふるGのネタバレレビュー・内容・結末

3.2

このレビューはネタバレを含みます

盲目のピアニストが事件の目撃者として誤解される、というのは冒頭のみ。
裏社会ボスを巡る各組織の駆け引きや各人の思惑など、ストーリーが進むにつれジャンル不明となる物語。

ミスリードではなくフェイク(演技)。そこに圧倒的な凄さがあるのは間違いない。ただそれを優先し過ぎて非現実的なあれこれが多過ぎることも確か。
枝葉末節に目を瞑り、ナタリー・ドーマーの意気込みを満喫するのが吉。

尾行者がいるからとチンピラに絡まれてもなすがまま。拳銃持った男が自室にいてもスルー。現実ならば、これまでの人生でどれだけボロボロになってきたことか。
そんな信念を持ちながらも、いざ事に及ぶとなると竦んでしまう。復讐なんて忘れて真っ当に暮らした方が、後見人らも安心するだろうに。それでは物語にならないのだけれど。

盲目のピアニストと聞けば、辻井伸行さんを思い浮かべてしまうのは仕方なかろう。仮に辻井さんが密命を帯びていたとしたら、それが周りにバレないなんて無理な話。
彼ほど有名人でなくとも、潜伏する工作員のような者に目立つ特徴や人前に出る職業は不利でしかない。経歴に常に付いて回るので虚偽も難しい。

それだけに今作のキーとなる盲目という点が、作品の命題として良かったのかどうか。もう数回見ないと判断できないというのが正直な気持ち。

memo
ティツィアーノ作「アクタイオンの死」
聖ラファエルのメダイ 視覚障害者と旅人の守護者 
リヒャルト・ワーグナー エリック・サティ


鑑賞 2020.09.22 ザ・シネマ