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ブレス あの波の向こうへのSY3KRのレビュー・感想・評価

ブレス あの波の向こうへ(2017年製作の映画)
3.5
『メンタリスト』で一躍スターになったサイモン・ベイカーが、同名の原作小説を映画化した青春ドラマ。

本作はサーフィンを通じて少年たちが挫折と成長を味わう、そんな単純な図式のジュブナイルではない。そもそもパイクとルーニーは性格も家庭環境も全く逆で、なぜ友人付き合いをしているのかが不思議なくらいだ。特にルーニーはどこか心の底ではパイクを下に見ており、2人の関係性は決して平等ではない。

サーフィンにハマってからも、彼らは絆ではなく次第に溝を深めていく。これはかなり異質な描き方だ。ひと夏の経験によってパイクは多くを失う。しかし、本作は失うこと・諦めることで初めて得られるものの意味を問いかける。パイクにとってはあまりにも苦過ぎる青春の1ページだが、こんな大人の階段の登り方もあるのだと教えられた。

ちなみに主人公を演じた2人は、役者ではなくプロのサーファーである。この年にして実際にランキングに入るほどの実力者なので、彼らのライディングを見ているだけで爽快な気分になる。時に美しく、時に荒々しく迫る波が迫力満点のヴィジュアルで映えわたり、視覚効果も素晴らしい。

身長190センチの美女エリザベス・デビツキとの交流については賛否分かれるであろうし、もはや全然違う波乗りテクを見せ始めた時は流石に失笑したが、監督初作でこの出来映えは十分過ぎるほどだ。

⚫︎トマトメーター
・批評家支持率:80%
・観客支持率 :73%
「サーフィンのような捻りを加えた青春ドラマである本作は、一見すると馴染み深い主題を扱っている。しかし、その水面下には驚くほどの深みがある」
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