トマト

L'empire de la perfection(原題)のトマトのレビュー・感想・評価

3.6
冒頭、ゴダールの言葉の引用「映画は嘘をつくが、スポーツは真実である」、そしてスポーツを伝えられる"良い映画"とは?の提言をし、初期のテニス映画から辿っている、これはめちゃくちゃアガッた。(それからのジョン・マッケンローのサーブまでの一連の流れは本当に最高だった!)
さぞ、映画という、(ゴダール的には)不明確に現実を語る表現媒体の中で、スポーツの生身の熱狂やダイナミズムを受け取り、この相容れない二つによる化学反応を楽しむことができるのだろうと期待したが、恐らく監督の意図によるものでは無いままにナレーションは映像を妨害し、かつそれが説明的で映像をも沈静化。言ってしまえばナレーションのための映像のような。監督にビジョンはあるのだろうけど、上手く作用しきれていない気がした。
当時の撮影チームによる、試合ではなくプレイヤーという人間を撮るための奮闘シーン(これもナレーションで大体が語られるが)は感動的だったが、それ以降は、当時の映像を参考に、ジョン・マッケンローを分析的にナレーションが語る特番番組のように、まるでドキュメンタリー映画で無い。彼等の映像を使用しているにも関わらず、作為的な編集のために魅力が半減している。それじゃあなぜ最初ゴダールの引用をしたのか?と思えば終盤の試合映像では、部分的なプレイシーンをわざわざ全アングル分使ってみたりで、残念だがついていけなかった。
マッケンローはめちゃくちゃカッコよかった。
トマト

トマト