イトウモ

楽園のイトウモのレビュー・感想・評価

楽園(2019年製作の映画)
3.8
こんなにドローンの使い方のうまい映画初めてみた。ドローンは神なのだ。ドローンの俯瞰図から車の往来、市場で荷台を押す杉咲花へとモンタージュし、彼女が台からダンボールを落とす。万事こんな調子だった。まるで機械=神では起きないエラーが人間にだけ起こるように
人から車へ、車から蜂へ、犬から踊りへ、火から火へ。運動の連鎖と構図・逆構図を大変律儀に繋ぐのに、テレビを見ている綾野剛と二人の少女の登下校のシークエンスだけかなり唐突に編集されている。つまりそこで何が途切れたのかが古典的なサスペンスを最後まで持続させる手法としてはかなり異なる部分もあるけど、瀬々監督は今回、日本のハネケだった。『楽園』は和製『白いリボン』監視カメラのない田舎町で、本来存在しないはずのドローンがその役割を担う