miyu

ぼけますから、よろしくお願いします。のmiyuのレビュー・感想・評価

2.0
老いることが、なんだかとても怖くなってしまった。自分が老いることも、周りの人の老いを感じることも。
昨今、”老い”について、それを豊かさにつながるようなものとして表現するような風潮があるように感じるし、その方が安心できるが、この映画の中には不自由としての老い、ばかりがあるように感じた。不安がどんどんどんどん大きくなるような感覚があった。これは、私が今、自分が持つものとして若さというものを過大評価し、それにすがることによって得られる輝かしさみたいなものにしか自信がもてないからだろうか。
生まれ育った地元、生まれ育った家族、そういうものに対する閉塞感や、感謝を向ける対象であることは自分の素直な実感として確かに持っていながらも、鮮やかで刺激的な世界から自分が取り残されゆくような感触。焦り。そういうものを煮詰めたような映像だ、と感じた。この撮影者は、カメラ無しにこの場に居続けるということができないからこれを撮っていたんじゃないか。多くの人は、カメラ無しにこのような場に対峙しなければならない。これが残酷さとなってしまう自分の貧しさに、心底怯えをおぼえる。
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