半兵衛

女競輪王の半兵衛のレビュー・感想・評価

女競輪王(1956年製作の映画)
3.0
前田通子の女優人生を知ると、主人公の負けず嫌いでしたたかで計算高くトップにのしあがる女性競輪選手と前田自身が被って見えてきて味わい深くなる。そして『イヴの総て』を思わせるラストも、この一年後に起こる前田の新東宝退社→三原葉子や万里昌代といった後進のセクシー女優の活躍の流れに繋がって見えてくるのが皮肉。

女性競輪選手がどういう訓練を受けているか、どういう生活を送っているのか詳細に描かれているのも今となっては貴重。でも肝心の競輪シーンは合成丸出しなので少し興ざめだけどね。あと主人公がどうして強い女性競輪選手になれたのかという重要な部分を一切描いていないので、トントン拍子にトップになっていく過程に違和感があるのが残念。

沼田曜一、江川宇礼雄、鮎川浩といった新東宝おなじみのキャストによる脇役のサポートも見事、あとこれがデビュー作品となる北沢典子の現代のアイドルにも匹敵するキュートさは必見。

あとこういう真面目なスポーツ映画でもちゃんと前田のお色気シーンを用意しているのがさすが新東宝。
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