nntmkazuyotaro

ターキー・パニックのnntmkazuyotaroのレビュー・感想・評価

ターキー・パニック(2018年製作の映画)
-
おセスやセスマと仲が良いアイク・バリンホルツの脚本&初監督作品。コメディアンになる前は政治家を目指していたってだけあってめちゃポリティカルな内容。
アイクもティファニー姐さんもいつになくシリアスだし、キャリー・ブラウンスタインの顔面が血まみれになるし、コメディー界隈で活躍するいつもの彼らとは違う緊張感があってそのギャップに引き込まれた。皮肉たっぷりのあるあるに手放しで笑えないようなブラックジョークが満載。アイクがやっぱり上半身裸になるのと、おセスの登場がいちばん笑った。

登場人物たちはみんな少なからず良心を持った愛国者であり、単にリベラルだ保守だと一括りにできないポリティカル・コンパスに収まりきらなくなった現代社会の縮図。思想がどうであれ自分のためだったり愛する人のためだったり愛する国のためだったり、みんな何かに「誓い」をたて大切なものを守り生きている。
そんな善良な市民である彼らが政治によって分断されるなんてやっぱりおかしい。政治家にはそのoathを利用して人々を試す様な真似で疑心を煽り分断するのではなく、自由と人権を尊重し連帯を呼びかけて欲しいと心底思う。
話し合えばわかり合えるなんて簡単には言えないけど、今の社会に足りないのは歩み寄りでも妥協でもなくとことん他者と向き合うことの様に思えた。でも、できれば血は流さずに済む方がいい。だからこの社会には選挙がある。これは『シカゴ7裁判』でも言ってたけど、民主主義は素晴らしいシステムだけど酷い政治家があまりにも多過ぎる。やっぱりこれを黙って見過ごせない。

それでも何度でも立ち止まり考える。正しい選択をするにはそれしかない。ナイフで胸を刺したら、顔面に向かって引き金を引いたらもう後には戻れない。どんな状況でも自分だけが絶対的に正しいと思い込むことは危険なのだ。
ブチギレた愛国者野郎より最後のお父さんの「わたしは立派ではないけど、やれることはやってきた。」と言うのがいちばんゾッとした。あの状況で大義を与え良心を責め人を殺させるとかナチスじゃん。

2018年にアメリカを分断したトランプ政権を批判した映画だけど、トランプが大統領じゃなくなりSNSのインフルエンサーになった今もこの映画が描いている問題は続いている。陰謀論や差別主義が当たり前のように蔓延る社会はおかしいよ。両論併記で報道するメディアも最悪!
あと思想を都合よく勘違いしてる人がけっこういるけど、差別思想は個人の自由として認める必要はないですからね。差別主義者はクズ、これ大前提だから。トランプなんてマジで問題外だし、このターキー・パニックとかいう邦題も問題外だから~🤯🦃
nntmkazuyotaro

nntmkazuyotaro