き

グリーンブックのきのネタバレレビュー・内容・結末

グリーンブック(2018年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

いやーーやっと見れました。
最近映画見るエネルギーが無くて見よう見ようと思いのびのびになっていた。

して、期待以上の文句なしの傑作。
人種差別の根深さから来る、テーマの重厚感を失わずに、映画そのものはコメディ調を交えて楽しく見れるのは、イタリア系ニューヨーカーという背景を持つトニーが主役の1人である面が間違いなく大きい。
俗っぽいトニーが、人情豊かで愛嬌があるけど無知で愚かな男から、1人のドクにとっての大切な友人として2ヶ月の間に成長していく過程が自然に違和感なく演じられている。

一方で調べると、本作がいわゆる「白人の救世主」映画であるという批判も少なからずあるようで、その言い分も理解はできる。ただ、人種差別を扱った映画でない場合を含め、アジア人の女性として個人的にもそう言う面は厳しめの目で見る事が多い身としては、本作を見てそんな気はしなかったし、むしろ映画を見終わってもべつにトニーを救世主とは思わない。
実際の史実に関しては置いといて、少なくともこの映画の中ではべつにトニーはレイシストでなくなったわけではない気がする。
そりゃ映画の冒頭で黒人が使ったコップを捨てたりとか、そんなレベルとは訳が違うほど変わったが、べつに救世主的な描かれ方をしているとは感じなかった。
というか、人は誰でも多かれ少なかれレイシストなのであって、その度合いや向き合い方が問題なのだ。
…話は逸れたが、とにかくトニーは白人の救世主ではなく、あくまで黒人への見方が変わったまだまだレイシストの白人で、ただドクとの友情は本物だ、と映画を見た限りは受け取った。

そして、こういう映画を鑑賞した時に大切なのは、こういう感覚を平然と持っていた時代(中には今でも白人至上主義者がいるのは置いといて)が確かにあったということを改めて胸に刻み、二度と同じ過ちを繰り返さないと学ぶことだ。



…しかし、これは映画と関係ないが、非常に日本の映画業界が情けないと思うのは、公式HPを見ると「宣伝隊長」が石原良純氏と長嶋一茂氏とある。
……なんでやねん!
公式HPのインタビューも全く映画と関係ない内容だし、こんなことする金あったらもっと有意義なことに使ってくれよ。専門家にコメント頼むとかさ。
こんなんだから…どうにもこの業界はダメなのだ。
き