麻原

グリーンブックの麻原のレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
4.7
映画館で予告を見た時からずっと見たかった。周りにも勧められ続け、随分と遅くなってしまったがようやくの視聴。期待通りの映画だった。

50〜60年ほど前の話とはいえ、現在でも未だ色濃く残る差別の色。「個人での差別ではない。地域がそれを許さない。」「変えるのは勇気」

誰しもがそれを実行に移すことができれば差別などそもそも生まれていないかもしれない。

トニーはイタリア系白人だったが、一切の差別を受けずに生きられる"生粋の白人"でも同じようにことが進んだのだろうか。
そもそも"雇われにいかない"か、そもそも職に困ることなど無いのかもしれない。

日本に生まれ、日本人としての大多数である黄色人種として生まれたことはただの偶然に過ぎない。たまたま黄色人種の両親の元に生まれ、黄色人種の日本人として育ったに過ぎない私たちや、劇中でドクを殴った白人たちも、「今こうして理不尽に殴られるのは自分だったかもしれない」し、「歴史が違えば」「今後差別の対象が変わることがあれば」次に理不尽に殴られ、理不尽に逮捕されるのは自分かもしれない。

ドクのようなCOLOREDと呼ばれる人たちが受けてきた差別は私たちの想像を絶するだろう。日本に生きているからたまたま知らないだけで。

日常に当たり前のように潜む差別を受けてもなお、「暴力では勝てないぞ。勝ちたいなら品位を保て。品位こそが全てに勝るんだ。」の台詞。彼がそれを言うのか。重みがのしかかり、心に強く響いた。

アメリカでは黒人ほどではないにしても、差別の対象であるイタリア系トニーが、ドクの痛みを理解できるようになれる人で本当に良かった。
生涯友であったお二人に敬意を払いたい。

映画館で見てたらものごっそい泣いてたと思うあたたかくて良いラストだった。
麻原

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