みかん

グリーンブックのみかんのネタバレレビュー・内容・結末

グリーンブック(2018年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

ずっと前から気になっていて、ついに今日見ることができた。
先に一言感想をのべるなら最高だった。携帯が壊れてて5.0までスコアが持っていけないのが本当に悔しい。満点だ。満点。これ以上ないくらい最高だ。

うまく言葉が纏まらないので、思うがままに感想を書こうと思う。読んでくれる人がいたら嬉しいけど、読みづらかったら申し訳ない。

舞台はアメリカ。黒人差別が根強く残る時代、ケネディ大統領が生きてる時代の話(ほぼ実話)だ。主人公はイタリア系アメリカ人のトニー。彼は粗野で大食い、がたいはいいけど喧嘩っぱやくてちょいワル。けど家族への愛は本物。
対してドクは世界でも指折りのピアニスト。だけど黒人。世界中の人が彼の演奏を聞きに来る。だけど、彼は一度ピアノから席をたてばただの黒人。金はある。名誉もある。けど、町中歩けばそんなものは意味もなく、孤独。

その二人のアメリカ南部へのコンサートツアーがこの映画の主題なのかな。南部はどうやら黒人差別が色濃く残ってるっぽくて、その警護も込めて白人のトニーを雇ったのかな?
ちなみにトニーも別に黒人に対して差別意識がないわけではない。普通に最初は黒人差別をする描写もあるし、多分それが当時のアメリカでは普通だったんだと思う。
だけどトニーはドクの演奏を聞いて、その前からかは分からないけど、次第にその考えを改めていく。トニーは頭が柔軟というか、人の話をきちんとするし自分の考えを押し付けすぎたりしない。だからドクを黒人だからと色眼鏡をつけて見ずに、彼自信の内面を見ていくのがめっちゃ素敵だった。あと、奥さん大好きなところも。
旅してたらちょっとは他の女性との色恋があるのがアメリカ映画って感じだけど、トニーは真っ直ぐに家族と、そして「Deer」な妻への愛を手紙で綴ってて、そこ凄い好きだなって思った。トニーが一人でベッドにいるシーンがあるんだけど、そこででっきり女の子でも呼ぶかと思ったら(汚れた自分。。)、ピザ一枚を半分に降り立たんで口に突っ込んだところを見て、「最高かよ!!」とトニーへの好感度爆上がりしました。
そしてドク。ドクの孤独、悲しみ、それはとても深いものだと思う。最初にトニーと面接?を行ったときもトニー(白人)を見下せる少し高い椅子に座ったりしたとこから、黒人として見られることに大きな葛藤を抱いているんじゃないかと思いました。
そして、黒人が歌う音楽を知らなかったり、黒人と言えばのフライドチキンやそういったものを食べなかったり、それは元々そういう育ちっていうのもあったのかもしれないけど、それよりもっと深い、自分が黒人であることの反発だったりするのかなと思った。
どこかでドクと一緒に行動するバイオリンニスト?か何かがいっていた、お金のためじゃなく、その先に続くものたちのために南部へいった。っていうところからも、この時代のアメリカ(特に南部)に根強く染み付いていた黒人差別への抵抗を、音楽というもので行おうとしたのではないかと思った。たまにトニーをなぜ運転手として雇ったか分からないって書いてる人がいたけど、それも白人を雇うことで黒人でも上にたてるってことを証明したかったんじゃないのかな何て思ったり。抵抗の一種なのかと。
ただ、ドクはドクで黒人というものに強くコンプレックスを抱くせいで、黒人とも仲良くできない。黒人のように差別を受け入れてる人たちとも相容れないから、本当に孤独になってしまっている。悪いのはほんとに社会でしかないんだけど、その描写はとても辛いものではあった。だからこそ、それを少し軽く粗野な感じで少しずつぶっ壊してくれたトニーは、最高にいいやつだと思う。
黒人が食べるフライドチキンを何気なく進めたり、黒人の音楽を何気なく気にしたり、黒人差別の根強いことを、「複雑だよな」と言ったり、トニーのその少し雑だけど愛がある押し付けがましくない接し方が、少しずつドクをドクらしく、黒人らしく生きていけるようにしたんじゃないかと思う。
悪いのは黒人に生まれたことじゃなくて、黒人を差別する社会なはずだ。ドクは絶対に黒人で生まれたことを後悔しないで欲しいなと思った。
この物語を通して育まれた二人の友情はとても心暖まるものだった。
そしてこのタイトル。グリーンブックとは「黒人が安全に生活できる場所」のようなものを指すらしい。これをタイトルにしたのは、もちろんトニーとその周辺というのが、そのようなグリーンブックに変わっていったというのもあるだろうが、この物語を通し、はじめは黒人への差別を持っていたトニーが、それが消えたように、この映画を見た人が同じように肌の色や見た目で人を判別することがないよう。今後の世界のどこもが、「黒人が安全に生活できる場所」になるように。と願いを込めて作られたのではないか。このグリーンブックを心に大事にしまい、もう現実にはそんなガイドブックなどとうの昔に失くなっていて、どの黒人も世界中を自由に自信もって、差別なく生活できる世の中になったらいいなと思う。この映画を見ることができて最高だった
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