CANACO

グリーンブックのCANACOのネタバレレビュー・内容・結末

グリーンブック(2018年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

2011年公開の『最強のふたり』が本当に好きなので、この「グリーンブック」を嫌いになるわけがない。納得のアカデミー作品賞&脚本賞作品。

高名で聡明な黒人ピアニストと、陽気で交渉力があり腕っぷしは強いが、短気なのが難点のイタリア人が、ターコイズカラーのキャデラック ドゥビル セダンに乗って、8週間にわたる南部コンサートツアーに出かける物語。

『メリーに首ったけ』などコメディを多く手がけるピーター・ファレリー氏による監督・脚本作品。
「メリー〜」で印象的だったのが、メリーが障がい者の弟を心から大切にしているシーンだったが、同監督作品は全体的に「障がいへの差別」や「外見への差別」をコメディという手法で用いて反論しているようなものが多くみられる。その監督が、笑い少なめで本気でアメリカ南部の黒人差別をテーマに扱ったのが本作だ。

ド派手なキャデラックに、「運転手がイタリア人」「後部座席に黒人」という構図。これだけで南部では特異であることを映像で示す。映画ならではの演出でいいなと思った。翡翠のくだりや、トニー“リップ”の銃を持ってるか持ってないかクイズのくだりなど、伏線回収もバッチリで見ていてストレスがない。

脚色された部分もあるようだが、事実を基にした作品だという。
一部からは“白人の救世主もの”と言われたらしいが、私はこの作品から黒人への敬意を感じたし、白人を美化しているようには思わなかった。

ドン“ドクター”シャーリーが(アメリカ産の)バーボンではなくスコッチ(スコットランド産)の「カティサーク」を好んでいる点はユニークだった。バカルディがスポンサーだから?と思ったけど、違うのだろうか。

ドンとトニーが雨の中でケンカしている間に、ドンが放つ言葉。あそこまで言わせたのは監督がそう思っているからだろうし、あれを言わせるために本作を製作したのだと信じたい。
ヴィゴ・モーテンセンもよかったけど、マハーシャラ・アリの説得力ある演技は確かによかった。

ゴールデンラズベリー賞を獲ってしまった「ムービー43」が逆に見たい。
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