まる

グリーンブックのまるのネタバレレビュー・内容・結末

グリーンブック(2018年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

やっと見れた!
公開時から気になってはいたけど、あの頃見てても理解できなかったと思う。
このタイミングで見れてよかった。

序盤は露骨な差別表現が飛び出しててムカついたけど、終盤にかけてスカッとした!

シャーリーはたしかにアフリカンアメリカンやけど、低所得層のリアルな治安は分からない。
彼のコンサートを聴きに来る人は、彼の音楽を聴くのが目的なのではなく、「アフリカンアメリカンの演奏を聴いている自分」を作るのが目的なのが顕著だった。
それは主催者側も同じだった。「個人の差別ではなく社会のしきたり」とか言うてたけど、実際やってることは同じ。トリオ内でもホテルや楽屋が違うのも露骨。
道中、エンジンから煙出て修理してるシーンで、柵の中で農作業してるアフリカンアメリカンとの対比あったけど、彼らとシャーリーの違いはどこにあるんだろう。何が違うんだろう。

シャーリーのセクシャリティや生活水準の高さも相まって、彼のアイデンティティが結構不安定だった。
だから、拍手喝采を浴びてても孤独なんだなと思った。
その点、トニーとの相性は良かった。
降伏することで立場を守るシャーリーと、暴力で立場を作るトニー。
ゲイだからって差別せず、以前と変わらず接してた。シャーリーはすごく安心したと思う。
トニーと違ってシャーリーは教養があるから、トニーの友人との会話も理解できて、昇進の打診したけどその目がすごく不安そうだったのが印象的だった。
最後のショーでは、毅然とした態度で「おかしいものはおかしいから降りる」と言ってたのが1番よかった。
あのアクションは、今までのシャーリーだったら絶対にしなかったし、トニーと関わる中で、黙って従うことが全てじゃないと学んだからこそだと思う。
何が正義って一概には言えないなあと思った。

トイレの場所で差別を受けた後、車中でトニーに「あれはおかしい」と話した時、トニーがそれは差別だと言ったけど、私はそうは思わない。
差別は社会の問題であるけど、それを行使してるのは白人であることに変わりはない。
それを被害者に対して「差別だ!」って言うことがすごく暴力的だと思った。
マジョリティに属してて、本当の意味でそれを理解してない人は、そんな残酷なことも容易く言えちゃうんだなと思った。
そうやって被害者を黙らせてねじ伏せる。

最後のショーを辞退してバーで演奏した時が、1番楽しそうに演奏してた。
まさに音を楽しんでた。
その後警察に停められた時も、差別をしない真っ当な警察もいるんだと希望や救いのあるシーンだった。

ツアー終わり、家族にも表現を改めるよう言えたのが何よりよかった。
そうやって小さな所から少しずつ変えていきたいと思った。

差別は絶対許してはならないし、おかしいと言っていい。
我慢せず嫌だと言っていい。
こんな最悪の社会構造はもう古い時代に残して、新しい社会を作っていくべきだと思った。
まる

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