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グリーンブックのumiのレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
2.4
カーネギーホールの「城」から、ドクターシャーリーはNYの外、つまりアメリカの土に、冥府下りに駆り出す。ドクターは、カーネギーホールでは玉座に座っていたが、NYの外では差別の力に完全に無力で、ついには留置所まで落とされてしまう。平和主義的な名誉白人の玉座から、暴力批判を語りながら、ケネディのコネを使い、具体的な権力を行使することを、ドクターは、差別されない権利の暴力として振り下ろす。溜飲をさげたくなるタイミングで、近づく別の州の警官がタイヤがパンクしていることを教えてくれるのは、州ごとの倫理が違うことをわからせてくれる。つまりグリーンブックとは、それ自体がブルジョワ道徳的なものだとしても、複数の倫理が立ち上がる中で、けれどやわらかくなることと受け取った。
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