とえ

グリーンブックのとえのレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
5.0
良い話だった!

時には笑わせながら、その背景にある問題点もきっちりと描きつつ
最後にはホッコリ心が温まる作品だった

1962年のアメリカ
当時、最高の黒人ピアニストと言われたドク・シャーリー(マハーシャラ・アリ)が南部へ二ヶ月間のコンサートツアーに行くために、イタリア系白人のトニー・バレロンガ(ヴィゴ・モーテンセン)を運転手に雇う

しかし、トニーは黒人嫌いな上、育ちも考え方もドクとは違い、二人は何事にも対立しあっていた

この映画は、そんなドクとトニーの友情を描いたバディムービーである

タイトルにある「グリーンブック」とは、その当時に実在していた黒人向けのガイドブックのこと

というのも、この当時のアメリカ南部では、黒人の入れる場所と、入れない場所があり、グリーンブックは「黒人が入っても良い場所」が記載されているガイドブックなのだ

トニーは、そのグリーンブックを頼りに、ドクが泊まれるホテルを選びながら二ヶ月間の旅に出た

しかし、その差別の現実は、かなり衝撃的だった

これだけを守れば良いという統一された法律だけでなく、州ごとに様々な規定があって、本当に「グリーンブック」が無いと、旅行できないような状況だっただろうと思う

それも、たかだか50年前のできごとだ
未だに、差別がなくなっていないと言われても、そうだろうなと思ってしまう

トニーとドクが行く先々で困難にぶつかるのを観て、差別というのがいかに愚かなことかというのが浮き彫りになっていく

明らかに理不尽なことを言っているのは、常に差別する側の方だからだ

そんな日々を過ごしているうちに、初めは差別主義者だったトニーも、差別される側の立場になり、差別することの愚かさを知ることになる

そのようすを観ると「グリーンブック」というのは、今思えば恥の記録だったんだなと思う

その中で、常に自分を負けずに勇気を持って堂々と毅然とした態度でいたドクは、とても立派な人だと思う

本来なら、ドクは北部で裕福な白人相手にピアノを弾いていれば、こんな辛い目にはあわなかったのに、それでも、南部でツアーをしたいと思ったドクの勇気に感動させられた

この映画は誰が観てもわかるようにできているので、ぜひ、たくさんの人に観て欲しいと思う
とえ

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