花俟良王

グリーンブックの花俟良王のレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
4.5
下品なコメディを撮っていたピーター・ファレリーが、歳を重ねてこんなにも軽やかだけど丁寧で、味わい深い映画を撮った。ただし、そのユーモアと優しさは過去と地続きであり、経験の賜物だろう。そしてそれが主演2人の素晴らしい演技を引き出した。

ヴィゴはここに来て寅さんのような憎めない男を演じ新たな一面を見せてくれた。マハーシャラ・アリも華麗なピアノ演奏(あの指の運びすごい)と品格を見せ『ムーンライト』『ドリーム』とは全く違う男となってて驚かせてくれた。

仰々しい展開・意外な展開は特にない。主従関係と車、人種差別なら『ドライビング・ミス・デイジー』がすでに30年前にアカデミー作品賞を獲っている。私はこのユーモアと暖かさに、同じコメディ映画を得意としたジョン・ヒューズによる凸凹コンビのロードムービー『大災難PTA』を思い出した。

それでもこの手の映画は何度も作られるべきだろうし(作られない状況になるに越したことはないけど)、それがこんなにも優しく観客の心に響くなら素晴らしいじゃないか。

兎にも角にも新たなクリスマス映画の定番の誕生を喜ぼうじゃないか!
花俟良王

花俟良王