ノラネコの呑んで観るシネマ

グリーンブックのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
4.9
タイトルは60年代の米国南部で、黒人市民が旅行するためのガイドブック。
なにしろこの頃はまだ「ミシシッピ・バーニング」な状態なので、黒人が自由に安全に移動できる時代ではないのだ。
なるほどこれはバディもののお手本のような作品で、文句の付けようがない。
アカデミー賞、作品賞は納得だな。
とんがった所は無いが、嫌味もクセも無く、最大公約数的観客層に訴求する普遍性。
イタリア系で粗野だが気のいいトニーと、あまりにも天才過ぎるが故孤高の存在となってしまい、同胞の文化や生活を知らないドクター・シャーリー。
全てが対照的な二人は、最初お互いがアンチテーゼとなり対抗するのだが、いつしか絶妙なハーモニーを奏で始める。
8週間の長い長い旅を通して、二人とも沢山の新しい経験をする。
そしてトニーは寛容と理解を、シャーリーは殻を破る勇気を得て、より良き人間となってゆく。
しかしお下品上等、おバカなギャグ映画ばっかり撮ってたピーター・ファレリーが、こんな品のある映画を撮ってオスカーを掻っ攫うとはねえ。
ハードな内容を魅力的キャラクターとユーモアで包み、誰にでも咀嚼しやすく届けるスタイルは「最強のふたり」によく似ている。
ブログ記事:
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