Ginny

グリーンブックのGinnyのレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
4.1
アカデミー賞作品賞受賞おめでとうということで 公開日朝一の回を見に行きました。

話の大筋は 鑑賞前に知っていましたが、大筋を知っていても 感動できる脚本になっていました。
ピアニストのドクター・ドン・シャーリーとその用心棒のトニーの心の通わせ方のいくつかのエピソードは鑑賞後、思い出すだけで涙腺が緩むくらい、心を震わされました。

先日、『ヘルプ 心をつなぐストーリー』を鑑賞し 米南部の黒人差別の酷さの一端を知りました。そこに描かれていた酷い差別が同様に本作でも見られます。
ヘルプを見て少しその時代の空気感を知ることができて良かったなあと。
映画は繋がるし 勉強のきっかけになる。

マハーシャラアリの演技は本作で初めて見ましたが…何故か感動しました。
めっちゃ上手!なのは言うまでもなく、それだけでなく、心を動かされた。

彼は今ジム・クロウ法はない2019年に生きている。でも その彼の血筋の祖先は 実際に苦しんだかもしれない。
マハーシャラアリは実際にその時代を体験はしていないけれど 演技で表現している。
彼の演技に私は、昔悲劇に遭ってきた過去の人々への畏敬の念を感じ取りました。

彼が演技で 表現することで 過去の悲劇を語り継ぐ一端を担えるはず。
それは偉大なことだと思い感動しました。

ヴィゴの演技も良かったです。
Our king of Gondor.胸熱。

作中、モーテルでトニーが言った台詞、あっ!これいかにも映画の名言的なやつ!とその場で心に刺さったのですが、その言葉、きちんと作品の中でも生かされていて 感動しました。
ドクター・シャーリーの行動に結びついてることに理解した時は うるうる。

母と一緒に見に行ったのですが、母は私がドクター・シャーリーに似てると。
何事にも神経質なところとか行動、発言似てると自分でも感じました。
だから 私も シャーリーも実行したように、トニーの言葉を胸に 行動したいな、と思いました。

そして、この映画の賛否について。
遺族の批判は詳しい内容がわからないので何とも言えないですが。
白人が救ってるように描いててそれが作品賞なんて、と声もあるみたいですがすべての映画をポリコレ基準で見てやんやいうのはあまり好まないです。
私は たしかに本作は差別があった時代の物語だとは思うけれど、心を動かされたのはドクター・シャーリーとトニーの1人の人間同士の心の通わせあいに感動したので そういった面で評価して欲しいと思いました。
政治的に!世の中でピックアップされてる主張にのっとってる!尖ってる!先進的!
そんな映画ばかり評価されなくていいです。

肌の色も 顔も 身長も なにもかも 外側を取っ払った 心と心のぶつかり合い、通わせ合い、それを描いたことに感動です。
この映画は「お利口さん」「お手本」という印象を抱きました。
温かくハートフルな映画。
私は『グッドウィルハンティング』を思い浮かべました。
こんな優しく心温まる映画がいつまでも 愛して評価される世の中がいいな。

ドビュッシー のアラベスク第1番はやっぱいいですね。
Ginny

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