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グリーンブックのスペクターのレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
4.0
映画『グリーンブック』

やっぱり、『女王陛下』からオスカー作品賞をもっていったか、と言える程の作品であり傑作である。

・作品:
1960年代の米国黒人差別を題材にした実話ベースのヒューマン・コメディー映画。
人種差別映画といえば、シリアスで暗いイメージを伴なうが、
この作品は、それを異なるアングルから捉えている。
映画のスタイルとしては明るさを保ちながら、根底にあるシリアスなモチーフを人間愛とソウルフル・ミュージックでやさしく包み脈々と観客に流し込んでくる。
アカデミー審査員達はそこを見逃さなかったのであろう。

・「グリーンブック」とは、
郵便配達員であったアフリカ系アメリカ人ヴィクター・H・グリーンが作成した黒人向けの旅行雑誌。 
1936-1966に出版され黒人に重宝された。 特に、深南部では欠かせないものとなっていた。

・キャスティング:
*粗野で教養の低い用心棒兼運転手、トニー・バレロンガを演じる“ヴィゴ・モーテンセン”、
『ロード・オブ・リング』のアラゴルンから別人のように変身している。 
人生を背中にしょった俳優の味がよく出ている。
*クラッシックの巨匠“ストラヴィンスキー”から「神の域の技巧」と絶賛された天才ピアニスト ≪イタリア語でヴィルトゥオーソ≫、
ドナルド・シャーリーを演じるオスカー俳優である“マハーシャラ・アリ”、
今回も見事助演男優賞を獲得している。
*トニーの愛しい妻、ドロレス・バレロンガを演じる“リンダ・カーデリーニ”、
イタリア系ファミリーと共にこの映画のオアシスとして好演している。

・音楽
劇中数多くの挿入歌で堪能されるが、
とりわけ、黒人バーでシャーリーが即興で演じる曲には圧倒される。
最初の数小節はクラッシック調ではじまり、それから一気にソウルジャズ風に変わる。
代わり映えのダンディーさが鳥肌もんである。 (by 7.1 Dolby Surround Systems)

・監督:ピーター・ファレリー
・脚本:ニック・バレロンガ(実在トニー・バレロンガの実子) 他 (アカデミー脚本賞獲得)



家内と東宝シネマズにて 2019.3.5
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