じんわり楽しめる映画。
観る前は、
最強のふたりっぽいなと感じていたけど
観た後は、
むしろちょっと質の違う観点を得たので
個人的には似て非なる映画だった。
湧いてきたテーマは、
「言語化されづらい孤独」について、と
「品位と階級」のこと。
アメリカの人種差別云々よりも、
理解されづらい孤独の種類があるんだよなという所への共感と共に、
そこに対峙する人間のもつ、
越境する覚悟とか勇気とかポリシーの
尊さみたいなものを感じて。。
喧嘩して車から降りてドクが叫ぶシーンの
彼の台詞が印象的だった。
「白人でも黒人でもなく、いつも孤独」
その知られざる苦悩を
他者が初めて知る時の衝撃を
物語っていて、経験とオーバーラップ。
もうひとつ。
品の有無というのは、品が必要とされる
シチュエーションの経験値によって培われるものだと思うのだけど、
そこを階級と連動させて他人を評価する
ような「品」に関する尺度をもつ人間は、
どんなに品のある方であっても、
その品位が台無しになってしまうもの
だなぁということ。
あの人は一流だ、とか、この人は二流だ、とか、容易く表面的な品位や振る舞いのみで判断してしまう事が如何に浅はかか。
そういうテーマを
改めて感じ入る映画だった。
個人的には、
ドクが黒人バーで弾いたショパンの
曲のチョイスが最高で唸った。
とある芸術が、本人に似合うか否かも、
社会的バイアスが大いに影響するけれど
そこを超えたところにある芸術に
美しさを感じていたいな、と思った。