ウマノホネ

グリーンブックのウマノホネのネタバレレビュー・内容・結末

グリーンブック(2018年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

本年度のアカデミー賞の作品・助演男優・脚本賞を受賞したということもあって、
是非とも鑑賞したかった作品♪
とっても楽しく、感動的な映画でした!

黒人差別を主題、あるいは背景にした物語はたくさんありますが、
この作品が面白いのは、白人と黒人の2人の道行き友情物語であり、
更に、黒人のボス、白人の付き人という立場にあるところ。

しかし、この二人の間には縦の主従関係というものはどうしても見えてこない。

トニーは確かに差別の目を持っているが、白人至上主義や意識的にではなく、
ただ毛嫌いしているだけなように見える。
彼自身も、アメリカの中では イタリア系移民 だし、
(そういえば、採用面接には "チャイナ" もいたし、彼がそういう言葉を使うように、
同じアメリカ国内にあって外国人というのは差別の対象になりやすかったのかも)

ただ、彼自身は
「イタリア人が全員パスタ好きと思われても気にしない」
タイプの人間なのであろう。
「俺の方がよっぽどブラックだぜ」の台詞はなんだか妙に説得力がある。
さすがトニー・"リップ"!

一方で、ドン・シャーリーが一番葛藤するのは、黒人差別社会に対してだけではなく、
その中で利口に振る舞い、自身の音楽をも変えてしまった自分に対して、
という点がすごく切なく、
労働者として働く同じ人種の視線が彼に向けられるところはすごく印象的でした。

そんな彼が、高級ホテルではなく地元のバーで、
スタンウェイではないピアノで弾くショパンと、その場のバンドメンバーとのセッション、
そして最後に、
エジプト王の様な出で立ちや、コンサート用の正装ではなく、
セーター姿で立つ彼の姿が、何よりも幸福で輝いて見えてくる☆