エミさん

グリーンブックのエミさんのレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
3.2
1962年米国NY。人種差別なんだけど、結局は、友情と愛の話。
91回アカデミー作品賞受賞を受けての鑑賞。『それでも夜は明ける』『ムーンライト』に並んで、いかにもアカデミー会員が好きそうな話だなぁと思った。

みんな大好き『メリーに首ったけ』の監督とあって、私もクスッとシーンがたくさんあるであろうことを期待しており、そんなシーンのお陰で2人への親近感もより多く感じられたし、トニーの息子が脚本監修をしているので、人間味がとてもリアルに伝わってきて、久々にホロっと泣かされた作品でした。
トニーの家にいつも居る家族や仲間たち。味があってすっごくイイ! 朝からみんなで 野球を見て大騒ぎしたり、トニーの人柄はここで培われてきたんだなぁ〜ってホッコリさせられる。俳優ではなくて、リアルトニーの本当の仲間たちが主演しているんだとか。ビックリ。

潔癖な私には、ガサツなトニーが「チキンやピザを触った手でハンドルを握るんじゃねぇ〜!」「わぁ〜、骨を道路に捨てた〜!!」と、生理的に許せなかったけど、チョイチョイ、その癖をシャーリーが制してくれてたのが胸をスッとさせてくれました(苦笑)。

カーネギーの上に住み、上流白人を楽しませていたのに、条例という縛りで多分にもれず差別を受けていたシャーリー。黒人でありながら黒人社会にも馴染めずに生きていかねばならないのが痛いほど伝わってくる。はぐれ黒人になりたくてなったわけではないけど、それでもシャーリーは自分の城を持っているのだから、まだマシなのではないかと思った。途中、エンジントラブルで、車を止めた場所にあった綿花農場。そこで働く黒人奴隷たちのシャーリーを見る目。あの時代、あの場所に自分が黒人として存在していたら、産まれたことを呪ったであろうし、白人として存在していたら右に倣えであったと思う。忌むべき風潮であるが、接点を持つことでようやっとそれが偏見である事が理解できるのだ。友情の話で本当に良かったと思う。