木葉

グリーンブックの木葉のレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
3.8
既存のステレオタイプを壊し、絶妙なバランスのユーモアと感動で包み込む、素晴らしい映画である。
主人公二人のキャラクターが抜群にいい。
教養と威厳、品があり、もの静かな黒人ドクターと、無骨でがさつなおしゃべりなイタリア系白人トニーが、車の旅を通して、心を通わせていく。この通わせていくくだりが実にユーモアに富んでいて。
トニーも実は黒人に対して偏見や差別を抱えている方の人間だったが、ドクターに出会い、ドクターのピアノを聴いた時から、変わっていく。ドクターが黒人ということで差別されるとトニーの方がムキになり怒る。そんなトニーをドクターは悟す。対照的な二人がお互いのためを思い、優しくなっていく物語はほろりとさせられる。
ぶっきらぼうのトニーに知性溢れたドクターがトニーの妻に送る手紙を手助けしたり、フライドチキンのシーンなんかは目頭が熱くなる。
掘り下げていけば黒人差別はもっと酷いものであったし、いいとこどりばかりしている映画でもあるかもしれない。
しかし、差別の芽となる先入観を巧みにユーモアに変え、心を打たれるシーンが幾度もあった。
愛や優しさが詰まった主人公二人を観たら好きにならずにいられない、また魅力的な二人に会いに映画を観に行きたいと思わせるいい映画に出会った。
木葉

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