のき

グリーンブックののきのネタバレレビュー・内容・結末

グリーンブック(2018年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

素晴らしかった。これが実話に基づくストーリーと思うととても幸せな気分になる。あんなに心温まるクリスマスのホームパーティは他にない。それにしてもグリーンブックってタイトル最高だな。

トニーの人柄が本当に最高。荒っぽいけどとにかく家族思いで飾らないし媚びない、なんだかんだで仕事もきっちりやる。最初は人種差別の意識を持ちながらも、ドクのピアノを聴くと素直に感激して褒め称える純粋さも良い。旅の途中からはドクに舐めた態度を取る白人に漏れなくキレるし、特にスタンウェイを持って来させるところとか最高に良かった。

ドクはバンドメンバーにさえ心を開かずずっと儚げな表情だったけど、トニーとの旅で徐々に心を開いていく姿は、観ていて思わず笑顔になった。フライドチキンの骨を窓から投げるシーン、初めてドクが笑ってて最高。ずっと差別を耐え忍んできたドクが、最後のツアーでレストランの食事断られたところで初めて抵抗するところ、心情の変化が表れていてよかった。ドクにとっては、人と人で会話する前に白か黒かで決められる社会でずっと生きてきて、トニーみたいに踏み込んで接してくれる人間が初めてだったんだろうなー。

白人にも黒人にもなれず、マイノリティとして生きる孤独をトニーにぶちまけるシーンは本当に寂しくて切なかった。この人の演技力すごい。特に悲しげな笑顔がめちゃくちゃ印象的。

この映画の感想、最高最高言ってるけどオレンジパート(黒人さんが集まるバー)の演奏まじ最高だった。はじめて観客と心から一体になってて、ドクも外ヅラじゃない笑顔で心から楽しんでるし、即興のセッションもすげーかっこ良かった。

いまだに差別が無くならないのは悲しいし、日本でも韓国人だ中国人だと人種でモノを語る人が多くて残念に思う。もちろん自分にも嫌いな人とか苦手な人はいるけど、必ずいいところもあるし、なにより知らない人や知らない文化を頭ごなしに否定したり、過去をいつまでも引きずって批判するのは愚かだしもったいない。トニーもドクも、この友情で何倍も素敵な人生になったと思う。

世界中の人がこの映画を観て、みんな友達増えたらいいなと思った。
のき

のき