けまろう

ドンバスのけまろうのネタバレレビュー・内容・結末

ドンバス(2018年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

『ドンバス』鑑賞。2014年のクリミア侵攻をきっかけにウクライナ内で独立誕生したドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国、この二つの親ロシア国家が位置するのがドンバス地方だ。本作が撮られたのは2018年、昨今のロシア侵攻より4年も早く撮られたことになる。
冒頭フェイクニュースから始まりロシアの承認を得た新政府が辿々しく新国家を設立する様子が描かれている。映されるのは13のシーン、それぞれがセミドキュメンタリーのような手法で撮られ、ウクライナ側から観たドンバス地方の状況が描写される。市民の資源を暴力的に奪い、市民は古く薄暗いシェルターで暮らし、砲弾の雨は止ます、政府の公的権威を示すための結婚式が催される。実に国家ごっこをしている様子が皮肉たっぷりに描かれるのである。
ラスト、フェイクニュース向けのスタッフの惨殺シーンはとんでもない結末で唖然とする。2018年に表層的な国家樹立を目指していたノヴォロシアの陣営は、2022年に実効支配に向けて動き出しているのが現在だ。知識としては知っていたが、こうしたドキュメントチックな映像とともにウクライナ視点の実感的な理解を得られた。広く観られるべき作品。
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