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PTUのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

PTU(2003年製作の映画)
4.5
2000年9月14日深夜、尖沙咀(チムサァチョイ)。夜の繁華街に、今朝起きた強盗事件のニュースが流れている。犯人は武装した4名で、警官一名を射殺し、今も逃走中だ。機動隊(通称:PTU)の第二小隊は、ホー隊長(サイモン・ヤム)の指揮のもと、夜の繁華街に降り立ってパトロールを開始したところだった。隊長以下、隊員たち(マギー・シュウ、レイモンド・ウォン)のモットーは「制服を着ているのは仲間だ」そして「重要なのは無事に家に帰ること」だった。
方榮記レストラン。黒社会組織幹部のマーが4名の手下と食事中のところへ、非番の組織犯罪課の刑事サァ(ラム・シュー)が来店し、店内には不穏な空気が流れる。
マーは手下に命令を出してとある場所へ向かわせた後、ひとり食事を続ける。サァ刑事も急遽、上司の呼び出しを受けて店を出る。その直後、マーは客を装っていた若い男に鋭利な刃物で背後から刺され、自力で病院に向かうも出血多量で死亡。
一方、サァ刑事は自分の車をマーの手下が傷つけているのを発見、逃げるその男を追跡する。
男を物陰へと追い詰めたサァ刑事は、バナナの皮で足を滑らせて失神、男を取り逃がす。その付近をパトロール中だったPTUは現場へと急行。サァ刑事の手当てをして状況を確認。するとサァは、拳銃を紛失していた。
昇進を控えたサァ刑事のピンチを救うため、ホー隊長は勤務交代時間の朝まで拳銃探しを手伝うことを約束し、隊員たちはしぶしぶその決断に従う。
サァ刑事の証言によれば、拳銃を盗んだのはマーの手下らしい。PTUはマーの従兄弟のマットがたむろしているゲームセンターで、彼らを執拗に尋問する。必死にマーの携帯を鳴らすマット。
しかし、すでに息絶えたマーの横で携帯はむなしく鳴り続ける…。その頃、サァ刑事はマーの死亡現場へと急行。鑑識による現場検証の最中、遺留品を勝手に物色していると、マーの携帯電話が鳴り出す。手下からの電話と思い込んだサァは、マーの携帯を持ち出す。そこへ、別の事件を追っていた特捜課(通称:CID)のチョン警部(ルビー・ウォン)らが到着。挙動不審なサァ刑事に目を留め、彼を疑い追跡を開始する。サァ刑事、CID、そしてPTUの三者による真夜中の追跡は、やがて予想外に絡まり合い怒涛のクライマックスに向けて走り出す!
この映画は難産だったらしく、3つのストーリーの流れをどうリンクさせるか上手くいかず何度も撮影中断し、構想から3年かかっている。そういう撮影上のアクシデントが上手くストーリーに影響していて、PTU警察機動部隊が4人組みの強盗を捜査しながら組織犯罪特捜班のサァ刑事が紛失した拳銃を捜索するくだり、チンピラ集団の一人マーの手下が自分の拳銃を奪ったと思い込んだサァ刑事がマーの父親でマフィアのボスとマーの殺害犯と連絡を取り紛失をバレない内に拳銃を回収しようとするくだり、マーの殺害事件を捜査しているチョン刑事がマーの周辺で不穏な動きをするサァ刑事を追うくだり、それぞれのストーリーの流れが徐々にリンクして、クライマックスでPTUとサァ刑事とチョン刑事たちCID犯罪捜査課とマーの父親のマフィアのボスたちマフィアとマーの殺害犯が一同に集まっての壮絶な銃撃戦と驚愕のオチに繋がる展開は、細かい隙や粗はあるものの、不運な偶然が組み合わさった予想外な展開で、警察機動部隊内部でも拳銃を探すべきか主張がぶつかり合ったり仲間の不始末を揉み消したり違法捜査ぎりぎりの捜査をする警察のグレーさがリアルで、クライマックスの銃撃戦はジョニー・トー監督作品ではお馴染みのチームごとのフォーメーションと構図が効いたリアルさと一瞬即発のサスペンスが凝縮したもので、サァ刑事の拳銃の行方などの結末が驚かされる、渋い味わいのポリスサスペンスアクションの傑作映画。
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