シネマスナイパーF

フロントランナーのシネマスナイパーFのレビュー・感想・評価

フロントランナー(2018年製作の映画)
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理想、道徳、そして正義的なナニは残念ながら共存させることが難しい
なぜなら人間だから

ハートに夢を見たかった記者君は良い勉強になったと思う
ハートは、フロントランナーであった以上に清廉潔白な男であることを推していたが故、マスコミの執拗な追及に遭ってしまった感


この件が若干異質なのは、長い歴史の中で何故か女性問題が取り沙汰されてしまった数少ない大統領候補のひとりであるハート上院議員の話ってことで、じゃあトランプとかはなんですか的な流れもあるのかもしれない
僕はその辺特に考えないですけど

何故ハートの件が価値観の転換に繋がったのか、マスコミが踏み込んで良い領域は何処までなのか、そういったメッセージを持ってはいる
持ってはいるが提示して終わっている部分が多く、それはいいとしても描き切れていないなと思う要素が確かにある
だから半端な印象が残る
半端だし史実以上を感じないので大して面白くもないと感じてしまうこともあるかな
大統領選の時に、そんなことで騒いでどうする?という話も考えさせられることではあるんですけど
ただ、どれも未だに答えが出ない問題であることは事実なので、この作品は改めて考え直させることが目的ですね

ダメな作品だとは思わないですよ勿論
僕好みの淡々とした感じでね、いいですね
質感が好みだし、オープニングの長回し大好き
ハートが怒り以外の感情をあまり出さないから余計に地味な映画に見えるけども、先述したように感情の盛り上げを「今そんなことで騒いでどうする!そんな疑惑関係ないだろ」ということに関しては声を荒げることだけに統一しているので、知る権利を手に迫り来る民主主義との対立という構図を地味ながら際立たせている


ただやっぱり、これやるには尺が短すぎると思う
2時間映画にするには大変な題材だったと思う
様々な人に焦点を当てている分そう感じる
JKシモンズが「誰の側にも立っていない脚本」と語っていましたが、実際全員に声を与えていると原作者も語っておりますので、やりたいことはわかるんだけども

こういう映画は、制度についての理解や詳しい解説のもとだと更に楽しめるので、パンフレット購入オススメです
コラムや解説が超充実していて優秀なのでオススメというかマストですよコレは