けー

ヒップホップ・エボリューションのけーのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

「Hip-Hop Evolution」はヒップホップの誕生から今に至るまでの流れをざっくりと知るのにとっても最適なドキュメンタリー。

みんな、喋りがうまくて面白いので結構重たい話でも楽しくのみこめてしまう。これを見るともう「麻薬を売ってそのお金で機材を買ってレコード作って...」なんて過去も驚かない。というかあの凄まじく破壊されたブルックリンの街並みをみれば納得せざるを得ない。

ヒップホップ自体も暴力に走らないため踊ってエネルギーを発散させようぜーというところから生まれた。

楽器を買うお金がないからレコードからかっこいいメロディやビートを抜き出してそこを伸ばしたり、ミックスしたりして楽しく踊れるようにする、それが進化していったのがヒップホップだ。

お金がない中で必死に工夫していたわけなのねとか、聞けばちゃんと理にかなっているというか、全ては必要から生まれてたものだったとわかったのも新鮮だったし、自分が随分とヒップホップについて間違ったイメージしかもっていなかったのだと。

ビートを作ってみんなが楽しく踊れるように音楽を流す人たちがDJ。

DJありきだったんだというのもここではじめてしった。

DJの人たちがみんなしゃべりがうまいというわけではなく、むしろエンジニア的な職人気質な人が多いのでむしろ口下手。
それを補うためにMCの人たちがみんなを盛り上げるトークをする。

それが次第にラップになっていたというのも面白い。

NYで停電が起きていた時、みんなお祭り気分でお店にモノを盗みに入って。
本当なら高くて手が出ないターンテーブルも停電のおかげでみんなが当たり前のように持っていたと無邪気に語られた日には笑うしかない。

被害にあった店主の人たちにとっては笑い事ではすまさせないだろうが、報道で受ける印象と実際の他愛なさの落差のようなものがすごく興味深かった。

このドキュメンタリーはヒップホップが必要に従って生まれて進化していく様子をすごくわかりやすく説明してあって、ヒップホップの知識なんぞかけらもなかった私でもざっくりとした流れは頭の中にはいった感じだ。

地方によって自分たちの境遇にあわせたビートやラップが生まれたりするのも面白く、見ていくほどに普段なにげなくドラマや映画などで聞き流していた音楽が、「ああ、これはあれだ!!!」とピンとくるようになり、「このリズム....トラップだ!」 ってなところまで言えるようになり、今めちゃくちゃヒップホップに興味が出ている。

このあとに「The Defiant Ones」というDr.Dreとジミー・アイヴォンを主軸としたドキュメンタリー番組をみて、いい具合に「Hip-Hop Evolution」の復習もできた。


エミネムがどう特別なのかもわかったし、彼が認められるまでにぶちあたる偏見の壁にDr.Dreが「なんちゅー人種差別!」と、黒人からの白人に対する差別感に気がつくところが面白かったというか印象的で、私も一緒になって「ああ、そうなるのか」と腑に落ちたというか。

Dr.Dreとジミー・アイヴォンの不思議な友情関係みたいなものも面白くて、これをみた後で「ワイルド・スピード」がらみの話を見直すと、見えてなかったものが視界にはいってくるようになった感覚があって、面白いと感じた。

 今は「Rap Ture」というドキュメンタリーを攻略中。これまた色々と目からウロコが落ちすぎて、どんだけ自分はものを知らないんだと愕然としつつも楽しい。
けー

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