CHEBUNBUN

John From(原題)のCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

John From(原題)(2015年製作の映画)
4.2
【四畳半神話体系inポルトガル(タピオカ大佐も出るよ!)】
アップリンクの肌蹴る光線企画で、ポルトガルのユニークな映画を観てきた。全編インスタ映えな画で展開され、話も2人の少女がキャピキャピ妄想する内容でなかなか話の全貌が掴めないのですが、どこかで観た光景だなという感情が渦巻き好奇心が持続した。

そして、驚きの事実に気づいたのでありました。なんとブンブンが大学時代モロッコ旅行中に撮ったゴミ映画『ラマダーン』と似ていたのだ。『ラマダーン』では、モロッコのラマダーン文化に魅了された主人公(ブンブン演じる)がホテルでラマダーンの神(ブンブン演じる)と出会い、妄想の世界で異文化交流する内容だ。

本作では、夏休みだが団地から出られず退屈な日々を送っている少女が、バヌアツのカーゴカルトに嵌まり込むうちに妄想の世界へと没入し、とある奇跡を呼ぶ内容。ブンブンが作ったマイナス5億点の掃き溜めを磨き上げてダイヤモンドにしてくれたような気がしてとても好きでした。

タイトルのジョン・フロムは、バヌアツで信じられていた神のことである。面白いのは、ジョン・フロムはアメリカの軍人で、戦時中空からやってきてバヌアツの人々に施しを与えたことにより神格化されてしまったある種の「作られた偶像」だ。

本作は、遥か彼方の偶像を信仰する軽薄さ、エキゾチックを娯楽として消費する軽さを描きつつも、その偽の信仰はまた真実であることをマジックリアリズムなタッチで観客に提示する。

彼女は何もバヌアツのことを知らないからジョン・フロムを信じてはいけないのか?いや違う。彼女は軽く自身に取り込んだ宗教を通じて、退屈な日々に生き甲斐を見出した。彼女は救われたことを、映画の奇跡でもって緩く美しく提示してくれるのだ。

ただし、CM的ビジュアル表現を通じて、この手の消費に対して鋭い批判を試み、宗教と社会、西洋からみたエキゾチズムに対して観客の心へ問題を投げつけることを忘れやしません。

可愛いヴィジュアルに騙されるな!これは鋭い鋭い作品でありました。

P.S.タピオカ大佐ってパワーワードの襲来に爆笑でした。
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