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オボの声のmuraのレビュー・感想・評価

オボの声(2018年製作の映画)
3.8
主役の結城貴史を迎えて。イケメンだがひと癖ある感じがいい。

どうしようもなくダメな男を後ろからひたすら撮りつづけたドキュメンタリーのような映画。

ボクシングをあきらめたシュウタ。仕事もうまくいかないところに、同居する女が妊娠。逃げるように実家にもどり、実家の近くで働きはじめる。仕事はプロパンガスの配送。そこで出会った寡黙な同僚はかつて人を殺している。シュウタもあるとき交通事故を起こし、倒れたひとを放ったまま逃げてしまう…

とにかく長く長くカメラをまわす。プロパンガス交換の作業を延々と見せ、同僚の男と山道をさまようシーンを延々と描く。眠くなった。

上映後のトークショーで結城貴史が言っていたが、監督は苦行を描いたと。そして苦行を観客にも強いたんだと。なるほどな。

そう言われると、なかなか深い。あまりにも粗暴すぎて当初はまったく共感できなかったこの男の心中が、段々と近づいてきたような。

トークショーでは映画の制作までにいろいろとドラマがあったことが語られた。こういった映画に真正面から向き合っている人たちにまた制作のチャンスが訪れるといいなと。
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